最近流行りの居合抜き超速。
特に藤井四段が得意とされていて、ゴキゲン中飛車をされたときに採用していて、勝率が高いというのも流行っている理由の1つだと思います。
この居合抜き超速に対して、ゴキゲン中飛車側はどう指せばいいのかというのを見ていきたいと思います。
居合抜き超速の定跡
そもそも居合抜き超速とは何かということで、序盤の定跡をお伝えしますね。
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簡単に言うと、角道を開けずに、銀を早めに繰り出していくのが居合抜き超速と呼ばれる指し方です。
角道を開けないことによって、角がさばけなくなりますので、居飛車側からすると、駒組みを進めてから戦うことができますし、場合によってはすぐに仕掛けることもできます。
居飛車が主導権を握りたいということですね。
それに対して、ゴキゲン中飛車側はどうするか? というのが問題になってくるわけですね。
居合抜き超速のプロ棋譜
プロはどう対策しているのかということで、プロ棋譜をどうぞ。
第75期順位戦B級2組10回戦 戸辺誠七段vs村山慈明七段
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同じように銀を繰り出していって、銀対抗と呼ばれる指し方にしましたね。
こうなると、お互い、すぐに攻め手がありませんので、穏やかな展開ですね。
この後は、戸辺七段は穴熊にして、徹底的に持久戦に持ち込もうとしましたね。
持久戦が好きな場合はこういった指し方も参考にしてみてはいかがでしょうか。
居合抜き超速の対策
銀対抗も、居合抜き超速の対策として有力なんですが、居合抜き超速をとがめにいく対策について、ご紹介したいと思います。
升田流向かい飛車
久保王将が、王将を取るときの王将戦で、指した戦法です。
それで、久保九段が勝って、王将を奪還しました。
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△8四歩~△8五歩と突いてきたのに対して、▲8八飛と向かい飛車にしてしまいます。
この後、どうするか? というのは難しい所ですが、相手にとっても居合抜き超速をしようとしたのに、向かい飛車にされて少し悩むと思います。
相手の予想を外すという意味でも、大きいと思います。
ちなみに、久保九段と郷田王将の棋譜はこちらです。
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銀を出させなくする
続いては、ゴキゲン中飛車にして、居合抜き超速を迎え撃つ対策法についてお伝えします。
居合抜き超速の出だしですね。
ここで、▲6六歩と突きます。
意図は銀を出させなくする狙いですね。
△6四銀として居飛車が悪くなるわけではないんですが、少し指しにくい展開になると思います。
逆に言うとゴキゲン中飛車側の方が指しやすいということですね。
△6四銀に対しては、このような変化になります。
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▲7八銀とあがり、△3二玉と囲ってきた場合、▲6五歩△同銀とさせて、角頭を守るため、▲6七銀とします。
これで銀が動けるのが、5四だけなので、▲5五歩が突ければ銀が全く動けなくできます。
ということで、△7二飛と回って角頭を狙ってくるんですが、▲5五角と一度出て、△7三桂と跳ねさせて、▲7七角と戻ります。
これで互角ですが、あんまり居飛車側は持ちたくないのではないかと思います。
飛車・銀・桂の形が良くなくて、攻められる形ではありませんので。
振り飛車側が逆にやりたい手がたくさんありますよね。
玉を囲ったり、▲5五歩と突いて、銀を動けなくしたり…
後はどこかで一歩取れれば、▲6六歩で銀が取れますので、振り飛車の方が指しやすいと思います。
ただ、変化として、▲7八銀に対して、△7五歩と攻めてくる手もありますね。
こちらの変化も見ていきたいと思います。
▲同歩と取る手もありますし、▲6七銀と受ける手もあります。
▲同歩△同銀の場合は、▲6五歩と角道を開けます。
△8六歩▲同歩△同銀には、▲5五角と出られるので、問題ありません。
なので、すぐに飛車先の突破はできませんので、心配はいらないと思います。
▲6七銀と受けた場合は、
△7六歩▲同銀△7五歩▲6七銀として、それ以上続かないですね。
△3二玉と寄るのであれば、▲6五歩△同銀とさせて、▲5五角を出ます。
こういった感じで指せば、ゴキゲン中飛車側も十分指せると思います。
居飛車側は角を使わないと言っているので、逆に振り飛車側は存分に角を使っていけば、角道を開けないのを咎めることができます。