横歩取りの佐々木流や勇気流と呼ばれる指し方を見ていきたいと思います。
佐々木流は、佐々木勇気六段が指した手ですね。
なので、佐々木流や勇気流と呼ばれています。
青野流に同様かそれ以上の破壊力がありますので、横歩取りを指すのであれば、覚えておかなければいけない戦法です。
横歩取り佐々木流の定跡
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横歩取りの展開から▲6八玉と上がるのが佐々木流です。
青野流の場合は、▲5八玉でしたが、6八にあがることによって、金にヒモがつきます。
これが、のちに意味を持ってくるわけですね。
ということで、局面を進めていきましょう。
基本的な狙いは青野流と同じで、▲3六歩~▲3七桂と桂馬を活用して攻めていく狙いです。
違いはここですね。
△7六飛と横歩を取られたときに、佐々木流の場合、構わず▲3七桂と桂馬を跳ねることができます。
▲5八玉の青野流の場合、△8八角成▲同銀△7八飛成があるので、▲3七桂はできないんですが、6八に玉が上がっていることで、△8八角成を堂々と▲同銀と取ることができます。
そのときに飛車が成ることはできませんので、特に問題ないわけです。
後は▲4五桂と跳ねられれば、成功ですね。
後手は角が退けば金が取られて飛車が成られてしまいますので。
とは言え、△8八角成は▲同銀と一度手を戻さないと玉が戦場に近い分怖い格好になりますが。
それも青野流との違いですね。
青野流よりもさらに攻撃重視の戦法と言えると思います。
横歩取り佐々木流のプロ棋譜
この攻撃重視の佐々木流、プロ間でもかなり流行っていて、すでに何度も指されています。
ただ、佐々木勇気六段の戦法ということで、佐々木六段の棋譜をどうぞ。
第58期王位戦予選 佐々木勇気五段vs中村太地六段
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このときはまだ佐々木六段が五段のときですね。
プロですら一気に攻められて、全く手がなくなってしまうという恐ろしい手です。
横歩取り佐々木流の対策
対策と言っても、こうすれば絶対に良くなるという対策はありません。
それがあればプロは指しませんし、終わった戦法ということになりますので。
なので、攻め潰されないための対策ということになります。
互角の展開になりますので、一局の将棋という感じですね。
▲6八玉と佐々木流を目指されたときに、△8二飛と飛車を引き上げます。
飛車で金にヒモをつけたわけですね。
▲3六歩と桂馬の活用を図ってきますが、△2二銀と上がります。
角が退いたときに金のヒモが外れるので、△2二銀は青野流や佐々木流にはあまり良くないんですが、
この場合は、飛車が引き上げて、金にヒモがついているので問題ありません。
▲3七桂と桂馬を活用してきます。
ここで3通り手がありまして、守りに行くのであれば、△4二玉と上がって、さらに手厚くしていきます。
後は△2三銀と飛車を追い払う手ですね。
▲3五飛と引いたら△3四歩と打って3筋から退いてもらいます。
あるいは、△8八角成と角交換する手も有力です。
角交換する手が一番激しくなりますね。
もちろん、▲同銀と取るんですが、△3三銀と上がって、▲3五飛と引くのであれば、△4四角と両取りを狙っていきます。
△8八角成▲同金△同飛成は後手が勝ちますので、▲6六角と合わせます。
△3五角と飛車の方を取り、▲同歩に△4四銀と上がって、桂馬から避けつつ角を圧迫しに行きます。
それでも、▲4五桂と跳ねてくる筋はあります。
△同銀は角が成れるので先手が指せる展開です。
なので、守るとしたら△2二歩と打って、銀の負担をなくします。
攻めるとしたら、△3六歩と垂らしていきます。
▲3八銀と受けてくれるのであれば、△3七歩成と成っていって、▲同銀に△2九飛と金取りの先手で飛車がおろせるので、勝てます。
先手も、▲5三桂成や▲2二歩と攻めあってどうかという感じですね。
これで互角で一局の将棋という感じです。
どちらが先に玉に届くかのギリギリの将棋になりますので、攻め合いが好きなのであれば、この変化に飛び込んでいっても面白いと思います。
攻め合いを避けるのであれば、先ほど紹介した▲37桂と桂馬を活用してきたときに、△4二玉と上がったり、△2三銀と飛車を追い払ったりする変化がいいと思います。
どれも一局の将棋になりますので、指しやすそうな手を選ぶことをオススメします。