第88期棋聖戦、羽生善治棋聖vs斎藤慎太郎七段の第4局ですね。
棋聖戦は五番勝負で、第3局まででは、羽生棋聖が2勝していて、斎藤七段の1勝でした。
第4局の棋譜はこちらです。
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横歩取りになって、羽生棋聖が勝ちました。
これで、羽生棋聖の防衛が決まり、棋聖戦10連覇となりました。
この大記録もすごいですね。
まだまだ羽生三冠の力は健在だと証明してみせましたね。
最多獲得数では、大山康晴一五世名人や中原誠一六世名人と並んで、16期となっています。
羽生三冠はまだまだ現役として活躍できるでしょうし、棋聖戦も取ると思うで、最多獲得数でも単独トップになるのではないかと思います。
それでは、棋譜を振り返っていきたいと思います。
序盤
最近では、▲3六飛と引かずに▲5八玉や▲6八玉~▲3六歩~▲3七桂と跳ねていって、青野流や佐々木流という激しい変化もありますが、
羽生棋聖は▲3六飛と引いて、相手には横歩と取らせないで、一歩得を主張していく昔からある変化ですね。
これに対して後手は、△8五飛と中段に引く中座飛車もありますが、斎藤七段は△8四飛と引きましたね。
佐藤名人の得意とする指し方ですね。
羽生棋聖は中原玉にしました。
斎藤七段の方は、△2四飛と飛車をぶつける手もあったと思いますが、△2四歩と打ったので、もうぶつけられないですね。
これならゆっくりした展開になりそうです。
駒組みもだいたい終わって、ここから戦っていく感じですので、この先は中盤と言っていいでしょう。
中盤
お互い桂馬を狙っていって、桂先の歩を伸ばしていき、羽生棋聖は角を打ちました。
3筋に効かせた狙いもあると思いますが、取りあえず桂頭を守った感じでしょうか。
△7六歩と取り込めば、▲8四角と飛車が取れますので、先手が勝ちます。
一応飛車が効いていて守れている形ではあるんですが、△7六歩と取り込まれて、▲同飛に△5四角という筋があります。
2七角成は困るので、▲2六飛と戻るんですが、△7六歩も△3六歩も残っていて、両方の桂馬が狙われる形ですので、先手が面白くないですね。
なので、角打って守ったわけですね。
飛車が逃げて、歩を外して、△7三桂と斎藤七段も両方の桂馬を使って攻めていく構えを取りました。
お互いに全面から攻めていく展開で白熱していますね。
横歩取りはこういう展開になるのが面白いですよね。
羽生棋聖は、▲6六角と戻って3筋から攻めていく狙いですね。
ここで斎藤七段が仕掛けにいって、△3六歩と打ちました。▲同飛に△2八角と馬を作りに行きました。
ただ、▲5六飛とぶつけられて、△同飛▲同歩と飛車をさばかせて、難しいとこですね。
どちらも、飛車の打ち込みには強いですが、斎藤七段の陣形には2一に飛車が打てて、ちょっとうるさいでしょうか。
香と取ったときに、馬があまり働いていないので、この馬をどう働かせていくかで、勝敗を分けそうな感じですね。
この辺からはもう終盤といっていいでしょう。
お互い攻めあって、どっちが速いかという感じですね。
横歩取りは攻め合いになって、最後まで波乱があるので、見ている分には楽しいです。
指してる場合は、自玉も考えながらで、気が気じゃないんですが(^_^;)
終盤
お互い桂香の小駒攻めですね。
小駒の場合、相手に渡してもそれほど痛くないのもありますし、相手が守りにくくなりますので、こちらとしては攻めやすくなりますね。
そもそも、小駒しかありませんので、小駒で攻めていくしかないというのもありますが。
ただ、攻め方としては対照的で、斎藤七段は上からの攻めに対して、羽生棋聖は横からの攻めですね。
この違いがどう出るか? になりますね。
これもすごい受けですね。
角は取られても、飛車・馬抜いてしまえば問題ないということですね。
5九に成桂できるのも怖いと思いますし、1九の金が完全に遊ぶので、それもイヤですね。
とは言え、攻めきってしまえば問題ないということで、羽生棋聖がどんどん攻めていきます。
ここからの歩の手筋がすごいです。
取れば龍の横が効いてきて怖いので、△4三歩と止めるんですが、▲5三歩成△同銀に▲5四歩ともう一回叩きます。
▲同銀に△5三歩と玉も叩いて、上に引っ張り出す狙いですね。
上に行けば守り駒がないので、詰みやすくなります。
ということで、△6一玉と逃げて、▲8二角としばりました。
さすがに大駒3枚あるので、攻められたら持たないですね。
斎藤七段もなんとか粘るんですが、じわじわ攻められてしまいました。
自玉が安全なので、焦る必要もないですからね。
こういうときは確実に攻めていくのがいいんでしょうね。
投了図以下、即詰みはありませんが、△5三金と外しても、▲1二飛と王手角取りで、金取りが残っているので、まずは金を取ってから、角を抜かれてしまいます。
飛車だけですと、先手陣に迫る手がないので、勝ち目がないということで、投了となりました。