5手目6六歩からの矢倉は居角左美濃急戦で潰されてしまうということで、終わったように言われていますが、ソフト「dolphin+NNUEkaiX(以下ドルフィン)」が新たな評価値を見せていました。
6六歩の時点の評価値で、全く評価値が動いていません。
ただ、これだけですと雁木もありますので、何とも言えないところですよね。
ということで、このまま7七銀まで進めてみます。
これでも全く動きません。
以前のソフトですと、これだけで300点~400点ぐらい後手に振れるものが多かったですが、ドルフィンは全く互角という評価です。
であれば、左美濃急戦も受けられるということですね。
ドルフィン同士で対局させてみた
より変化の幅をもたせるために3手目6六歩の展開にして、ドルフィン同士で対局させてみました。
1手2秒という短い持ち時間の設定ですが、流れがつかめればいいかなと思ったので、時間は短めにして、早めに終わらせるようにしました。
その棋譜はこちらです。
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200手以上の長手数の将棋になりましたが、先手の矢倉が勝ちとなりました。
さすがに左美濃急戦に受けがないのであれば、1手2秒であっても負けることはないでしょう。
矢倉が勝ったということは、一局の将棋で受けがあるということに他なりません。
ちなみに評価値のグラフはこんな感じです。
ずっと互角で来ていて、徐々に先手に振れていきました。
ドルフィン自身、何が悪いのか良く分かっていないみたいですので、いつの間にか先手がよくなった感じです。
1つ言えるのは、6六歩からの矢倉でも十分指せるということですね。
ただ、後手番での4四歩からの矢倉ですと100点ぐらい悪くなりますので、後手番ではやや苦しいようです。
とは言え、ソフトもまだまだ成長中ですし、これからどうなるか分かりませんので、そこはこれからのソフトに期待ですね。
居角左美濃急戦対策
では、居角左美濃急戦に対して、矢倉はどう指せば、指せるのかというのを見ていきたいと思います。
矢倉を作って2五歩を決める
▲7八金とあがって矢倉を作ってから、▲2四歩~▲2五歩と飛車先を突きます。
突かずに矢倉の完成を差急いでしまうと、一気に攻められてしまいますので、2五歩までは突いて、いつでも反撃できるようにしておきます。
こうすれば、最低限左美濃には囲ってくれますので、すぐに攻め潰される心配はなくなります。
また、▲2四歩から飛車先交換は保留します。
すぐに交換してしまいますと、一手損が響いて、すぐに攻められてしまいます。
なので、2五歩までは突きますが、2四歩はすぐには行かないようにします。
ここからは相手の攻め方によって、異なります。
腰掛け銀~右四間飛車の対策
居角左美濃急戦でよく出てくる腰掛け銀から右四間飛車にする指し方ですね。
この場合は、▲6七金右と金矢倉を完成させます。
玉も角も動かさずに金矢倉を完成させることで、6五歩からの攻めを防ぐことができます。
▲6九玉と寄ってしまうと、飛車道に玉が入ってしまうので、攻められてしまいますし、▲7九角も角の効きがなくなるので、△6五歩から攻められてしまいます。
なので、角も玉もそのままですね。
玉に関しては、あとで▲5八玉と中住まいにするのがいいようです。
ドルフィンもそうやって指していましたので。
また、▲3六歩~▲3七桂の形を早めに作ることで、4五銀もなくなりますので、後手の攻めがいよいよ難しくなります。
先手としては、飛車先を交換して、ゆっくり指して、動いてくるのを待っていれば問題ありません。
後手は左美濃が完成して、これ以上駒組みがありませんので、すぐに動いていくしかないですが、それが難しいとなると、作戦失敗になります。
なので、こうなってしまうと、後手のほうが難しいのかなと思います。
7三桂の対策
もう1つ居角左美濃急戦での攻め方が早めに△7四歩~△7三桂と桂馬を活用する指し方ですね。
これに対しては同じように矢倉を作って▲2五歩まで決めてから、▲7九角と引いて、▲2四歩△同歩▲同角△2三歩▲4六角の形を作ります。
この場合、腰掛け銀に行くのが難しいですよね。
△5四銀は▲6四角が桂取りと5三角成を見せますので。
△6二金とあがるしかなくて、右四間飛車にはしにくいです。
かといって、△6五歩から仕掛けるのも、角道が通ってきますので、指しにくいです。
△6二金~△8一飛の角換わりでよく出てくる形を作るしかないですが、こちらも金矢倉を完成して3七桂の形を作れば、すぐに攻め潰される心配はありません。
矢倉は終わっていません!
ということで、まだ矢倉は終わっていませんでした。
6六歩の形でも十分戦えます。
しかも今が一番チャンスで、ほとんどの人が居角左美濃急戦が勝ちという結論で終わっていますので、研究している人が少ないと思います。
そこで、しっかり研究して指せば、勝ちやすい戦法になります。
矢倉で受けるのが好きという方は特により深く研究してみてはどうでしょうか。
まだまだソフトも分かっていないことだらけというのが分かって、面白いですね。