藤井聡太4段が、前人未到のデビューから11連勝の新記録に達成しました。
その対局は、第67期王将戦一次予選で、対局相手は、小林裕士七段です。
それでは、その棋譜をどうぞ。
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戦型は角換わり腰掛け銀ですね。
先後同型の形になりました。
一番流行りの形ですよね。
4八金に2九飛と一段飛車にした形で。
5八金よりかは玉の守りが薄くはなりますが、バランスが取れていて、角の打ち込む隙がないのが特徴ですね。
問題はこの後の構想をどうするか? ということなんですが…
小林七段は、▲5六銀と腰掛け銀にしたのに対し、藤井四段は、▲6五歩と6筋の位を取りに行きました。
そこで、▲4五桂と仕掛けていきましたね。
この場合、△2二銀と引いたらどうだったんでしょうか。
▲2四歩△同歩▲同飛は、△4四歩で桂馬が取れますから、先手の仕掛けが失敗していますし…
4五桂急戦では、▲2四歩△同歩のときに、▲6六角という筋があって、これで桂頭を守りつつ、攻めにも効かせることができますが、
この場合、△同歩と取られて終わりですから、できないんですよね。
なので、▲2六角と反対から打つんでしょうか。
後はこの角が使えるかどうかが勝負の別れ目になってきますね。
ただ本譜は、△4四銀と上がられたので、穏やかな展開ですね。
先手としても、△4四歩と突かれて桂馬が取られる心配がなくなったので、▲2四歩から飛車先の歩の交換をして満足といった感じですね。
とは言え、浮かむ瀬によると、これはあまり良くないようで、▲2四飛と走ったときに、△1三角という手があるようです。
▲2九飛であれば、△4六角と出て、▲4七歩と追い返そうとするんですが、△2八歩と抑え込まれてしまいます。
▲2七飛と逃げると、△4六角の香車取りを受けるのが難しくなります。
なので、▲2二角と攻めあってどうかといった感じみたいです。
こうなると、激しい展開ですね。
藤井四段は焦らず穏やかに、△2三歩と飛車先の歩の交換を許しました。
▲2九飛に対して、△6四角。
4六の歩を狙いつつ飛車先の攻めも見せていて、味の良い一手ですね。
ここからはねじり合いで、一手でも悪手を指したほうが負ける、難しい将棋になりました。
ここの藤井四段の歩の手筋がさすがですね。
△8六歩と突き捨ててから、▲同歩に、△8八歩と一回叩いて、▲同玉とさせて、玉を出させて、飛車のラインに入れます。
そして、△8六歩の継ぎ歩。
▲同歩は△同桂が銀にあたってきて、味がいいですね。
なので、▲7六銀と角を攻めつつ、2筋に守りを足すんですが、構わず△6六歩。
これはなんでしょうか。
▲同歩と取らせて空間を作らせて、何か持ったら打ち込みたいということでしょうか。
例えば、▲7五銀と角を取られたときに、△同歩と銀を取って、△6七銀と打ち込めるということですね。
かと言って取らなければ、△6七歩成が厳しいので、▲同歩と取るしかないですね。
そして、△8六歩と飛車先を伸ばしてきたときに、小林七段の反撃。
▲8二歩△同飛▲8三歩と叩きの連打。
△同飛ですと、▲7五銀△同歩▲7四角の王手飛車ですね。
ということで、△8一飛と引きました。
角を取って、拠点も払った所で、狙っていた△6七銀。
それに対して、▲7二歩。
△同金は、▲6四桂の王手金取りが入りますので、取れないですね。
なので、△4二玉と逃げて、▲7一歩成とと金を作って、勝負。
縦から攻めるのと横から攻めるのとどちらが速いか、という戦いですね。
勝敗の一手はこれですね。
取られそうな銀を最後の一働きで歩を取ったんですが、飛車先が軽くなったので、後手勝勢になりました。
ここは、▲9五銀と端を取っておけば、△同香▲同歩でまだまだだったようです。
かなり難しい将棋で、終盤の終盤まで、どっちが勝つのか分からないような将棋で、面白い将棋でした。
藤井四段、ねじり合いもかなり強いですね。
これからもっと強くなっていくでしょうし、どんな将棋が見られるのか。
すごく楽しみです。