第49期新人王戦記念対局の藤井聡太七段と豊島将之二冠が対局した棋譜です。
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棋王戦のときと同じ角換わり腰掛け銀になりましたね。
棋王戦のときは豊島二冠が先手でしたが、新人王戦では藤井七段が先手で、先後が逆に成っている分どうかですね。
棋王戦のときは2五歩は決めずに2六歩のままでしたが、藤井七段は2五歩を早めに決めました。
2五歩を決めると、将来的に2五桂と跳ねる手が消えてしまいますが、後手から△4四歩と角道を止めて雁木にする手をけん制することができます。
△4四歩には▲2四歩から飛車先が切れます。
飛車先が切れても、すぐにどうなるというわけでもありませんが、少しだけ得できるかなという感じはします。
悪形にする手裏剣の歩
▲4五桂から藤井七段が動いて、豊島二冠は△6五歩▲同歩△7五歩と反撃に出たところですね。
角換わりによくある展開で、△7五歩に▲同歩は△6五桂で▲6五銀なら桂馬取って、△7六桂がありますし、▲7六銀は△6六角、▲6六銀は△8六歩▲同歩△同飛で銀が取られてしまいます。
ということで、銀が逃げられません。
ここで、▲6九飛と周って6筋を受けつつ反撃を狙っていくのがよくある指し方ですが、藤井七段は▲2二歩と手裏剣の歩を入れました。
△同金と壁金の形にして陣形を悪くする狙いですね。
壁金の形がイヤなら△3三桂と逃げるのもあったでしょうか。
ただ、▲2一歩成△同飛と成り捨てられても、飛車が使いにくいので、いずれ戻る必要がありますし、一手使うならどちらも同じと考えるのであれば、△同金で問題なさそうですね。
ソフト評価値はどちらもあまり変わらず、ほぼ互角の50点ぐらいという感じでした。
豊島二冠は△同金と取って、藤井七段は▲6四歩と伸ばして、攻めの拠点にしていきました。
局面に応じて形にとらわれず対応
▲同銀と取ったほうが矢倉の形で形良いですが、藤井七段は形にとらわれずに▲同金と取りましたね。
▲同銀は△8五桂があたってきますし、△9五歩から端攻めもあるようです。
▲同歩に歩を連打して香を9六まで吊り上げて、△7四角で香を取りにいく狙いです。
▲同銀なら端に利きますので、△9五歩を手抜いて▲7四歩から攻めていけます。
香を叩いて7四角の筋も面白そうですし、覚えておいて損はなさそうですね。
受けにくい銀取り
藤井七段は桂馬を取りに行って、▲6六桂と打ちました。
△6五銀は▲同銀△同飛▲8四角とかあって、と金を作れそうですし、△5五銀直▲同銀△同銀は▲7三歩成△同金▲5三桂成△同玉▲3一角で金が取れます。
どちらにしても技がかかってしまいますので、逃げずに△3二金と壁金を解消。
銀を取って▲6三銀と打っていって、成銀が寄って攻めていきました。
投了図以下
ここで豊島二冠の投了となりました。
▲4二角成を受けるのが難しくて、△5三銀打ぐらいでしょうか。
ただ、▲同桂成△同銀▲4二銀と打たれて、一手一手になりそうです。
あとは△8二飛ですが、▲4二角成△同飛▲同金△同玉▲8二飛で角か金駒で合いするしかありませんが、▲6三歩成で一手一手です。
ということで、投了やむなしですね。