ガチガチな矢倉は定跡が多い上、崩すのも大変で、あまり指したくないというのもあるかと思います。そこで相手が矢倉を目指してきたときに、矢倉になる前に崩す指し方を紹介します。矢倉が苦手な居飛車党はぜひ参考にしてください。
崩し方の基本は組む前に攻め潰す
どんな囲いであっても、しっかり組まれてしまうと攻めるのが難しくなります。
なので、できるのであれば、組む前に攻めてしまったほうが攻めやすいです。
組む途中では、駒がバラバラのときも多いですし、破れればすぐに攻め込むことができます。
矢倉とは違いますが、居飛車穴熊に対する藤井システムもそうですよね。
穴熊にされる前に攻め込むことによって、一気に終局まで持っていくことができます。
矢倉も同じで、組む前に攻められれば、攻め潰すことが可能です。
ある条件付きではありますが、その矢倉を組まれる前に攻める指し方になります。
矢倉囲いの崩し方
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後手番で矢倉を目指す場合、こういった駒組みになります。
ここで、▲4六歩が重要な一手です。
右四間飛車を目指すような一手ですね。ただ、ここで狙っているのは右四間飛車ではありません。
次の相手の一手が重要で、△6二銀や△5二金であれば、一気に攻め潰すことが可能です。
どちらも基本的には同じで、▲4五歩といきなり突いていきます。
△同歩は▲2四歩△同歩▲同飛。
▲4五歩はこれを狙った一手です。
6二銀や5二金で飛車の横利きが止まるので、飛車を取れば▲2二角成が入ります。
後は△3二金と角にヒモをつける手もありますが、▲3三角成と切ってきます。
△同金は角が取れますし△同角は桂馬が取れます。
△同桂は▲2三銀で角と銀の両取りです。
なので、どれで取っても潰れています。
では、△2四同銀▲2二角成の飛車・角交換の変化を見ていきます。
一方的に桂・香取られれば悪くなりますので、飛車を打って攻めあってくるのが自然だと思います。
▲2一馬△2九飛成▲4四歩と垂らして攻め合っても十分です。
受けるのであれば、▲3八角△2八飛成▲1一馬という手もあります。
3八角が桂取りを受けただけでなく、8三の地点にも効いているので、将来的に飛車の頭を攻める手も見せています。
これも先手が十分です。
後手側の受け方
矢倉を指すときの受け方ですが、△4六歩に対して、▲3二金とあがる手になります。
この一手を入れるだけで、▲4五歩は成立しません。
ただ、これに対して居角左美濃急戦はありますので、後手側が受ける展開になりそうです。
高段にも一発入れられる!
各上相手であっても、▲4五歩の変化を知っていると一発入れることができます。
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将棋クエスト5分切れ負けにして、レーティング1929の4段の方と当たったときの対局です。
私は1760の初段なので、レート200ぐらい上の方ですね。
私が後手番で、相手は矢倉を目指されました。
雁木の可能性もあったので、すぐには△8五歩は決めなかったのですが、どちらなのか確かめるために8五歩を決めました。
▲7七銀と受けましたので、矢倉と決まりました。
矢倉とわかれば、△6四歩をすぐに入れます。
それに対して、▲5八金と上がられましたので、すぐに△6五歩と仕掛けていきます。
後は▲同歩△8六歩▲同歩△同飛と開戦です。
▲7八金で受けられましたので、△7七角成ですね。
▲同角△8九飛成▲6九角と進んで、△3三桂と角成りを受けるのも良かったですが、△8六桂と強く攻めにいきました。
成桂で取るのか龍で取るのか迷いましたが、尻金の手筋で攻められそうだったでの、龍で取りました。
受けてくるかなと思いましたが、▲4六香と攻めに来られて、△4九金が入りました。
▲3八玉はボロボロ駒が取れるので、▲5七玉とかわしましたが、△3三桂と馬道を止めて、6六角までの詰めろですね。
受けるのであれば▲4三香成と逃げ道を作る手ですが、さすがに受からないということで、▲4八銀とされて、△6六角で詰みとなりました。
高段であっても、ここまでいってしまうとどうしようもなくなってしまいますので、覚えておくと、役に立つと思います。