四間飛車に対するポンポン桂のプロ棋譜や定跡、対策まとめ
ゴキゲン中飛車に対するポンポン桂の研究をしたので、一般的な四間飛車に対するポンポン桂についてもまとめたいと思います。
ポンポン桂の定跡
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ポンポン桂は名前の由来にもなっている通り、桂馬をポンポン跳ねて、タダで捨ててしまい、無理やり角交換を狙います。
そして、2筋の突破を狙う作戦ですね。
強引な戦法に見えますが、意外と優秀な戦法で、突破されると、意外と受けるのが難しくなります。
ポンポン桂のプロ棋譜
ポンポン桂は、またの名を富沢キックとも呼ばれて、富澤幹雄8段が良く指されたことでも知られています。
ということで、その富沢8段の棋譜をどうぞ。
1991年7月4日 第40期王座戦一次予選 富沢幹雄vs藤井猛
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まだ藤井9段が4段の頃の棋譜ですが、藤井4段は、ポンポン桂を一切受けずに攻め返していますね。
やはり駒損の攻めですので、それを咎めるのであれば、一切受けずに攻め返すのも、手ですね。
とは言え、攻め合いになるのはあまり好きじゃないということもあるかと思います。
そういう場合どうしたらいいか?
ポンポン桂の対策を考えていきたいと思います。
ポンポン桂の対策
実は、ポンポン桂に対しては色んな対策があります。
ハメ手っぽい手もあり、居飛車側が知っていないと逆にハマってしまうような手もあります。
そちらも合わせてご紹介したいと思います。
ポンポン桂させない方法
まずは、そもそもポンポン桂をさせない方法について、ですね。
簡単に回避する方法としては、△3二飛と三間飛車に振り直す方法があります。
▲4五桂には、△4二角と角が引けるので、問題ありません。
あるいは、▲3七桂と上がってきたのを見て、△3二銀と引く手もあります。
▲4五桂なら、△同歩▲3三角成を△同銀と取れるので、問題ありません。
また、桂馬が上がってきたということは、居飛車側から3筋を狙いにくくなります。
なぜなら、桂頭が居飛車にとっても、弱点だからですね。
▲3五歩△同歩▲4六銀という攻めがやりにくいので、銀を引いても大丈夫です。
とは言え、せっかく上がった銀が下がるのも、あんまりいい手とは言えないのも事実。
ということで、△5三銀と上がる手もあります。
▲4五桂は当然△同銀です。
浮かむ瀬もこの手を推奨していて、居飛車側からも攻める手がなくなるので、これが最善だと思います。
ハメ手っぽい手
続いて、ポンポン桂をさせながらも、それを逆用して、居飛車側を悪くさせるハメ手っぽい手をご紹介します。
まずは、▲5四歩。
ごく自然な一手に見えますが、これで、ポンポン桂を封じています。
▲4五桂とポンポン桂をしますと、△同歩▲3三角成△同桂▲2四歩までは行きます。
ここまでですと、ポンポン桂が成功したようにみえるんですが、ここで、△5四歩の意味が出て、△6四角と打てます。
△5四歩がついていなければ、▲5五角と合わせて問題ないんですが、▲5五角が打てませんので、合わせるとすると、▲3七角しかありません。
▲3七角には、△同角成▲同銀と銀を吊り上げて、△2四歩と取れますね。
▲同飛なら、△1五角の飛車・銀取りです。
▲2七飛と下がるのであれば、△3七角成と角を切って、▲同飛△2二飛と回ります。
今度は居飛車側が、飛車成りを受けるすべがありません。
▲2七歩であれば、△2八銀▲3八飛△2七飛成と成られてしまいますので。
なので、△5四歩と突かれた場合は、玉頭銀がなくなるので、▲4六歩と4五歩早仕掛けに切り替えます。
もう一手ありまして、それが△1四歩と端歩を突く手です。
居飛車側からは、居飛車の税金と呼ばれて、△1五角を消すために突いたりしますが、振り飛車側から突くことはあまりないと思います。
ただ、これにもある狙いがあるわけですね。
同じように、▲4五桂と進めてみましょう。
△同歩▲3三角成△同桂▲2四歩。
ここで、先ほどのように△6四角と打ちます。
今度は▲5五角が打てますので、▲5五角と合わせて、△同角▲同歩とします。
この歩を吊り上げるのが目的ですね。
意味については後の方が分かりやすいと思いますので、そのときに。
後は同じように、△2四歩▲同飛△2二歩と進みます。
ここまでですと、ポンポン桂が成功した形なんですが、この次の一手を封じています。
居飛車はここで、▲3一角という攻め筋があるんですが、端歩を突いた状態でこれをやると、△1三角と切り返せるんです。
2二歩を守りながら、飛車取りに当てる一手ですね。
ここで飛車を引いたら、△3二飛で角がタダですから、▲4二角成△2四角と飛車を取り合うんですが、美濃囲いのほうが硬いですし、駒損もしているので、振り飛車側が有利です。
△2九飛から△8八角といった攻めもできますから、さすがに居飛車が持たないです。
後、▲5五歩を突かせた意味なんですが、これを突かせないと、△2二歩と打ったときに、▲6六角といった手が生まれます。
単純な桂馬取りですが、意外と受けるのが難しいです。
△3二銀は当然飛車が成れますからできませんし、△3二飛なら、▲2三歩と合わせられて、△1三角を打っても、▲2二歩成△2四角▲3二と△同銀の形が、
銀が玉から離れて、守りに効かなくなりますので、あんまりいい展開ではありません。
なので、その筋を消すために、▲5五歩と歩を吊り上げます。
以上がポンポン桂対策となります。
色々な対策法がありますので、一番指しやすそうな手を指すのがオススメです。