後手雁木に対する急戦策もいくつか出ていますが、後手の雁木からの反撃もあり、どの変化もかなり難しいですよね。
特に雁木側から早繰り銀で逆に攻められたときに、急戦策にした場合、玉が薄いのでそのまま攻め切られてしまうということも少なくないのではないでしょうか。
そこで、雁木早繰り銀に対しての対策を紹介したいと思います。
elmo vs AobaZero
コンピューター将棋同士で対局するfloodgateにて、参考になる棋譜がありましたので、そちらを紹介します。
elmo_WCSC27_479_100k vs AobaZero_w717_n_p200_t4
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先手はエルモで、後手はAobaZeroですね。
AobaZeroは、ユーザー参加型の将棋人工知能プロジェクトで、色んな人によって作られているソフトのようです。
AobaZeroが後手雁木にして、エルモは急戦策ですね。
プロ間では、雁木が出てきた頃に流行った急戦策ですね。
ただ、早繰り銀にされて、先手が攻められる展開になるので、あまり指されなくなりました。
AobaZeroもその早繰り銀で攻めていったのですが、それに対してのエルモの受け方が参考になります。
早繰り銀を見て、3七桂型に
エルモが元々▲3七桂型にする予定だったのかは分からないですが、棋譜を見る感じですと、△7四歩と早繰り銀を見せたのに対して、▲3七桂と跳ねたように見えます。
この桂跳ねがのちに重要になってきます。
飛車の小瓶を狙う
AobaZeroが△7三銀から早繰り銀を見せて、△6四銀にエルモは▲6八角と引きます。
角を引くことで、角頭の当たりを避けつつ、▲4六角の転換を見せていきます。
△7五歩から一歩交換していきますが、そこで▲4六角と出て、飛車の小瓶を狙っていきます。
これで銀を動かせなくすることで、攻めを封じます。
桂馬を跳ねている効果はここで出ていますね。
△4五歩と角を狙われたときに▲同桂と取れるようになり、そのまま角当たりの先手になります。
ただ、△4五歩はいつか突かないと後手の角は使えないままですし、桂馬がいいけん制になっています。
後は、▲6六歩から動けない銀を狙って、後手をあせらせます。
冷静に対応して銀を狙う
△7二飛と回ったり、△4五歩と突いたりして攻めてきますが、すぐに潰れることはありませんので、冷静に対応して攻めが切れてから▲6五歩と銀を狙っていきます。
△7三銀▲7四歩△8二銀と銀を使えなくします。
ここまで来ると、後手から動くのは難しいですね。
△7四飛は▲8二角成が入ってしまうため、飛車も銀も動かせません。
角も安定していて、働きかけにくいのも、後手としては辛いです。
△5四銀から桂馬と角を狙っていくぐらいしかないですが、本譜のように▲2四歩~▲2五飛で大丈夫です。
AobaZeroは△3五歩から無理やり動いていきましたが、エルモがとがめて、勝ちとなりました。
7三銀を見て3七桂でいいかも
エルモは△7四歩に▲3七桂と跳ねていきましたが、▲2五歩のほうが人間的には指しやすいと思います。
3七桂は形を決めすぎていて、△5二金から持久戦にされたときに、少し難しくなります。
持久戦になった場合は、先手陣は発展がしにくいんですよね。
先手は急戦の構えですので、持久戦だと、後手のほうが作戦勝ちになりやすいです。
△7三銀▲6八角△6四銀▲3七桂にすれば、後手としても持久戦にしにくくなります。
順番が違うだけですが、相手の手を見て決めることで、後出しジャンケンをしている感じですね。
もし、銀が出てこないのであれば、▲3七銀とこちらから先攻できますので、先に攻められます。