第12回朝日杯将棋オープン戦 決勝の渡辺明棋王と藤井聡太七段が対局した棋譜です。
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ついに渡辺棋王と藤井七段の対局が実現しましたね。
この対局を見たかったのは、私だけではないと思います。
渡辺棋王がどう指すのか序盤からワクワクしていましたが、角換わりは嫌って雁木にしましたね。
最初から作戦は決めていたということで、やはり藤井七段に角換わりは危険と判断したのでしょうね。
藤井七段の角換わりの研究は底知れないほど深いですからね。
長時間の将棋ならまだしも、早指しでは余計に指したくなかったのではないでしょうか。
雁木棒銀
渡辺棋王は銀を2六まであげて、雁木棒銀ですね。
今後は矢倉棒銀が雁木棒銀に変わっていったりするんですかね
雁木の定跡も色々出てきそうで楽しみです。
雁木は角頭が弱点になりますし、棒銀も矢倉よりも決まりやすいと思います。
なので、かなり有力でしょう。
それに何より、渡辺棋王が指しているわけですし、有力に決まっていますね。
ここから、▲3五歩とすぐに仕掛けて、△同歩▲同銀は棒銀が成功した形で、次に▲2四歩が受かりませんので、△4五歩▲同歩△5五角という展開になりました。
飛車取りをどう受けるかですが、1八飛は飛車がそっぽにいって味が悪いですし、3七桂も△3五歩から狙われそうですので、▲3七銀と引いて受けましたね。
△3五歩にソフトが好きそうな▲4七金とかあるかなと思いましたが、▲5六歩でしたね。
銀が狙われていますので、自然な一手ですね。
ただ、玉の小瓶が開くのが気になるところで、本譜もそれで苦しめられたところが多かったように思います。
難解な中盤戦
なかなか銀が前に進めずに、難しい局面ですね。
銀をさばきにいくなら、▲3八飛とかになるんでしょうか。
ただ、銀交換しても良くなるかは難しいところで、藤井七段からも反撃されますし、ちょっとヌルいですかね。
藤井七段からは△8六歩▲同歩△8五歩の継ぎ歩攻めがありますね。
△8六歩を▲同角ですと、△6五歩から攻められますので、どちらにしてもイヤです。
ソフトはこの局面で、▲2四歩推奨で、△同歩▲2五歩△同歩▲1七桂とするようです。
△1三桂と受けさせて、▲8八玉と入ってどうかといった感じみたいです。
まだまだ攻める手がなくて、難しい局面みたいですね。
渡辺棋王は▲7五歩と桂頭を攻めて、△8四飛▲2四歩△同歩▲6五歩と動いていきました。
感想戦で△同桂を読んでいたとのことですが、藤井七段は△同歩で6六歩から手になるという判断だったようです。
飛車を狙う歩打ち
▲7六歩で、将来的に銀を取れば▲7五銀で飛車が取れる形で、それを狙っていたと渡辺棋王は感想戦で話していました。
ただ、藤井七段は△8四飛と戻って、△7五歩からの攻めを狙ったのと同時に、渡辺棋王の狙いも消しました。
渡辺棋王は▲3八飛から動いていきましたが、銀交換になって、3五に飛車が行って、角交換になると4六角の王手飛車があるということで、渡辺棋王も苦しんでいたようです。
勝負手のあった局面
ここで、勝負手があったようで、▲7五銀でいい勝負だったと感想戦で話していました。
飛車の取り合いは、先手玉は6筋に歩が効きますので、底歩が固いです。
対して後手玉は歩が打てませんので、飛車を下ろされるとかなり苦しいですね。
ただ、渡辺棋王は見えなかったとうことで、▲3六飛と引いて、藤井七段の攻めの番が回りました。
厳しい歩突き
ここで、藤井七段が話していた△6六歩が入りましたね。
▲同飛は△5五角で、▲同角は△6五金▲8八角△6六歩と再び打たれます。
これで飛車も角も両方とも止まってしまいますので、一気に弱体化してしまいます。
▲5六銀と6五金を受けましたが、△3五金と今度は飛車を狙われて、横から攻められます。
焦点の歩
▲4三銀も特に問題ないということで手抜いて、△8八歩と打っていきました。△同角でも△同金でも▲8七歩~▲5八銀△5七金▲8八銀の狙いですね。
まだ寄りませんが、玉がかなり狭くなりますので、かなり怖いです。
なので、▲6九玉と早逃げしましたが、△4六歩の叩きがイヤですね。
▲同金は△5七銀ですし▲4八金は△4七銀ですね。
▲同銀も攻められなくなるので、指したくないですが、受からなくなってしまいますので、▲3二銀成を入れてから▲4六銀と取りましたね。
詰めろ銀取り
△5七銀が金取りと5八銀打までの詰めろで、痛すぎますね。
▲5八歩と受けましたが、△4六銀成と金を取られて、さすがに受けがなさそうです。
カッコ良すぎる決め手
△4四龍がカッコ良すぎますね。
▲同飛でも▲同角でも詰みですし、取れないとなると飛車を取られてどうにもならなくなってしまいます。
ということで、▲同角と形を作りました。
投了図以下
ここで、渡辺棋王の投了となりました。
以下、▲6七玉△7六金までですね。
これで藤井七段は朝日杯2連覇となりました。これまでは羽生九段の名前が多かったですが、これからは藤井七段の名前が並ぶことになるでしょうか。
藤井七段の今後がもっと楽しみになりました。