第77期順位戦B級1組12回戦の斎藤慎太郎王座と菅井竜也七段が対局した棋譜です。
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本局は角換わり模様から、菅井七段が振り飛車にしましたね。
△5四歩に▲3三角成△同銀と角交換していきました。
角交換に5筋の歩は突くなという格言もありますからね。
隙のできやすい5四歩に角交換は自然ですね。
すぐに▲5三角も見えますが、△5五角の飛車・香両取りが受かりませんので、まずは5五角を受ける必要があります。
ということで、斉藤王座は▲8八銀とあがりました。
今度は、△5五角に▲3七銀とあがることで、飛車取りを受けつつ、飛車の横利きが通って銀取りも受けることができます。
菅井七段は△5二飛と回って、5三角を受けましたね。
そこからは穏やかな展開になって、駒組みとなりました。
地下鉄飛車構想
斉藤王座は下段飛車で9八香とあがって、9九飛と回る地下鉄飛車構想ですね。
ただ、▲9九飛と回ってしまうと、△2四歩から攻められてしまいますので、先に▲9五歩と動いて、いいタイミングで▲9九飛と回ろうということですね。
戦いが起こってからなら、△2四歩よりも先に攻めれますので、勝ちになります。
△9五同歩▲同銀△同香▲同香となりました。
△9五同歩を▲同香と取ってしまうと、△9三歩と打たれて、銀も香も前に進めなくて、これ以上攻められなくなってしまいますので、▲同銀と取るのが手筋ですね。
棒銀でも端から攻めるときに銀から取りますが、それと同じですね。
ただ、次の菅井七段も指した△8六銀がイヤということで、ソフトは▲9五同銀と取らずに▲同香を推奨していました。
△8六銀を消すために▲8七玉を入れてから▲9五歩と仕掛けるのもあったでしょうか。
▲8七玉が入っていれば、ソフトも▲9五同銀推奨で、全くの互角だったようです。
ただ、▲8七玉に菅井七段から手があったらイヤなので、難しいところですね。
ソフトは△4八角から動く手があるということで、以下、▲3八銀△2五桂▲同桂△1五角成と馬を作ってどうかですね。
それでも全くの互角ですが、動こうとしたときに先に動かれて、ちょっと損した感じもします。
桂頭攻めから反撃
菅井七段は△3五歩から反撃に出ました。
▲同歩なら△3六歩ですね。▲同銀△5八角▲2六飛△6七角成▲同金△8七金から一気に崩壊してしまいます。
ただ、△3六歩に▲4五桂があるようで、△同歩なら▲3四歩で逆に桂頭攻め。△同桂なら▲同歩で、△3七歩成には▲1五角の両取りがあります。
▲4五桂も手抜いて△3七歩成もありますが、▲3三桂成△同金▲1五角の両取りがかかりますので、同じですね。
斉藤王座は▲9二香成△7一玉▲6八金寄と5八角の筋を消しました。
ただ、△2四歩から攻め続けて、▲同歩なら△4八角の筋ですね。
それも難しい将棋でしたが、▲3五歩△4八角となりました。
斉藤王座に誤算か
この辺りは、斉藤王座に誤算があったのではないでしょうか。
▲3八銀があまり受けになっていませんでしたので。
と金も作られて、桂銀取られる展開になってしまいましたので、単に▲3八銀を入れずにすぐに▲8九飛としたほうがまだいいような感じがします。
それでも悪くなってしまいますので、▲3四歩から攻め合いにしたほうが良くなった気がします。
斉藤王座も当然読んだと思いますが、なんかイヤな筋があったのでしょうね。
斉藤王座の勝負手
斉藤王座は菅井七段の玉に迫っていきましたが、△6二銀と受けられて、続かないですね。
▲4四角成とするしかなく、△6七香と厳しい手が飛んできます。
▲同金なら△6九銀で金を抜かれます。
▲5七金とかわしましたが、△5九馬と入られて、苦しいですね。
投了図以下
ここで、斉藤王座の投了となりました。
以下、▲同玉△7七馬▲9八玉△9七歩▲同玉△8六馬▲同玉△8五香▲同玉△7三桂▲9六玉△9五飛▲同玉△8五金▲9四玉△8二桂までとなります。
斉藤王座の攻めに乗じて、うまく菅井七段が反撃しましたね。
この辺りは振り飛車の真骨頂という感じで、菅井七段の技が光りました。