相掛かり棒銀の中でもUFO銀の序盤研究です。序盤から飛車を切る激しい展開で指せるという変化で、乱戦が好きな方にはぜひ試していただきたい手です。
UFO銀とは
UFO銀は銀がUFOのようにゆらゆら動くことから、そう言われています。
実際に、どういった手なのかというのを見ていきたいと思います。
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飛車先を伸ばしていって、交換させあうのが相掛かりですね。
ただ、飛車先の交換は手損ということで、指されないこともありますが、それはひとまず置いておきます。
その後、棒銀のように銀をあげていき、▲3六銀の形にするのがUFO銀です。
この銀の使い方が色々あり、▲2五銀から棒銀と同様攻めていく手もありますし、▲4六歩~▲4七銀と銀を下げる手もあります。
なので、後手としては▲2五銀から攻められる筋は絶対に考える必要がありますし、▲4七銀と引かれて、長期戦になる展開も考える必要があります。
両方とも考えながら駒組みを進めないといけませんので、指し手が難しいです。
UFO銀はかなり有力な戦法で、プロの棋戦でも良く指されています。
相掛かりを指すのであれば、押さえておかなければいけない戦法です。
藤井七段のUFO銀対策
朝日杯将棋オープン戦一次予選の大石六段(当時)と藤井四段(当時)の対局で大石六段が相掛かりUFO銀にされました。
そのときの序盤の棋譜をどうぞ。
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浮き飛車にして、銀冠にして対応しました。
じっくりとした将棋で、166手という長手数で、藤井四段の勝利となりました。
安全に指すのであれば、おそらくこちらが一番有力だと思います。
最新UFO銀の対策
UFO銀に反発して、一気に大乱戦に持っていく変化を紹介したいと思います。
こちらはソフトが指した手ですので、有力なのは間違いありませんし、ネット将棋のような早指しであれば、研究しているほうが有利なので、有利な展開に持っていけます。
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まずは先手が飛車先交換して銀を前に出して、UFO銀ですね。
ここで、重要なのが△9四歩です。
いきなり、▲2五銀と出てくるのであれば、飛車先交換して△8四飛と3四銀を消します。
▲2四歩△同歩▲同銀であれば、△4四角と出て、▲2三銀成には△2七歩~△2六歩で問題ありません。
なので、▲2五銀は成立しません。
△9四歩に対しては▲9六歩と返したり、▲5八玉とあがったりするのが自然です。
それに対して、△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△3六飛と切ってしまいます。
これが狙いの一手ですね。
▲同歩△5五角と飛車の小瓶を狙っていきます。
飛車が逃げれば香が取られてしまいますし、▲1八飛なら△2七銀でやはり香が取られてしまいます。
受け手としては、▲3八金か▲2七飛打と飛車を打つかのどちらかになります。
▲3八金は△2八角成▲同金△3九飛▲4八玉△3六飛成といった展開ですね。
これも全くの互角の展開で、評価値もほぼ0ですが龍ができて、陣形がしっかりしている分、後手のほうが実践的に指しやすいのではないでしょうか。
▲2七飛打の場合でも、△2八角成でもいいですし、△3三桂と一度上がっておいて、▲7六歩に△6四角と引けるようにしておくのも有力です。
▲2三飛成△同金▲同飛成の筋も見えますが、△3二銀打▲3四龍△1九角成で問題ありません。
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なので、△3三桂には▲7六歩と角交換に挑んできますが、△6四角▲1八飛△9五歩と端から攻めてどうかという感じです。
飛車・銀交換の駒損は残ってしまいますが、端に飛車を追いやれて、そこまで使える状況ではありませんので、駒効率的には後手のほうがいいです。
なので、後手も十分戦えるという判断ですね。