第2回AbemaTVトーナメント予選の中村太地七段と都成竜馬五段が対局した3局目の棋譜です。
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1勝1敗で、3局目が勝つと本戦トーナメント進出という状況でした。
振り駒で都成五段が先手番でしたが、千日手になって指し直しとなりました。
そのときに都成五段が残り約40秒で、中村七段は残り2分ぐらい残っていて、都成五段は時間が厳しい状況でした。
AbemaTVトーナメントでは千日手は残り時間そのままで指し直しというルールですので、中村七段は残り時間も見て千日手にしたんだと思います。
中村七段から千日手の変化に持ち込みましたので。
フィッシャールールにうまく対応した指し回しでしたね。
千日手局では、都成五段は先手番中飛車でしたが、指し直し局では相掛かりになりましたね。
ネコ式縦歩取り
都成五段は△7四飛と寄るネコ式縦歩取りですね。
7六歩を突いていれば、歩取りになり、通常の縦歩取りになりますが、突いていませんので、歩が取れない形で、ネコ式縦歩取りと呼ばれています。
ひねり飛車にするときに指される手ですが、3六歩を突かれているので、ひねり飛車にしにくいので、そこをどうするかですね。
悪形がたたる展開に
中村七段はじっと固めて、都成五段も動けずに歩越しの飛車の悪形がたたる形になってしまいました。
ホントは△7一玉と美濃囲いにしたかったと思いますが、仕方なく△5二金と雁木にしましたね。
▲6六銀と飛車を圧迫しにいって、△8四飛▲7六歩と角道を通します。
次の△5四歩が危なかったでしょうか。
▲5五歩から戦いになりました。
銀交換から金を狙う
中村七段は銀交換に成功して、▲4一銀と引っ掛けます。
金が逃げると飛車に成られてしまいますので、△4三銀と金銀交換は仕方ないというところですね。
▲3二銀不成△同銀▲4二金とさらに攻めていきます。
ただ、△3一銀で▲3二金△同銀で、金と銀がもとに戻りました。
さすがに2筋はこれ以上、攻められませんので、▲5五銀と中央から攻めます。
金を取って再び4二金
金銀交換ができたので、再び▲4二金と打っていきます。
△3一銀とまた受けるしかないですね。
▲3二金△同銀であれば、後手としては安心できますが、銀も持っていますので、▲4三銀と打たれます。
金を取ると▲3二銀成が入りますので、△同銀▲同金と進みました。
次に飛車成りが入ってしまいますので、△3二銀打と受けるしかないですね。
そこで、▲5三銀で金が取れます。
後は金が寄っていって迫っていきました。
桂頭から反撃へ
都成五段はなんとか手を作ろうと、△3五歩と桂頭を狙っていきました。
2五桂と逃げられるので、そこまで脅威ではありませんが、仕方ないというところですね。
なので、中村七段も堂々と▲同歩と応じます。
△3六歩に▲2五桂。
△同桂▲同飛ですと、次に3四桂の両取りを受けないといけませんので、都成五段としては取ってもらいたいですね。
守りの薄い端攻めへ
銀4枚の守りで硬いので、中村七段は6六角から端を狙っていきました。
▲9三歩に△同香なら▲9二歩の垂らしでしょうか。
△同飛は▲8三金で飛車が取れます。
ただ何もしなければ、9五香~9二歩成と攻められてしまいますので、△6五歩▲同金△3七歩成▲同金△8六歩▲同歩△7四桂と技を出します。
中村七段は冷静に▲4八角△9三香▲7七金と受けます。
これで攻めがありませんので、後はゆっくりと攻めていくだけとなりました。
投了図以下
ここで、都成五段の投了となりました。
即詰みはありませんが、飛車取りですので、何か対応するしかないですね。
△同飛は▲8四香で取られてしまいますし、逃げると▲9三角成から詰みとなります。
なので、投了やむなしですね。
これで、中村七段の本戦トーナメント出場が決まりました。