第11回朝日杯将棋オープン戦本戦の永瀬拓矢七段と佐藤天彦名人が対局した棋譜です。
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永瀬七段が早めに角道を止めて、雁木にしましたね。
それに対して、佐藤名人は左美濃にして、速く攻めていく狙いですね。
雁木は角頭が弱いということで、早繰り銀で、角頭を狙っていきましたね。
ソフトも雁木に早繰り銀を推奨していたので、おそらく一番有力なんじゃないかと思います。
ここで、△7五歩と仕掛けていきました。
▲同歩に△6四銀や△8四銀と出て、吊り上げた歩を取りにいく狙いですね。
先に銀があがってからでもそれほど変わりませんが、先に戦いを起こせるという意味がありますね。
永瀬七段は取らずに▲3七銀と永瀬七段も早繰り銀で攻めにいきました。
△7六歩と取り込んで▲同銀△6四銀▲4六銀。
お互い銀を繰り出しあってどうかですね。
さらに攻めにいくのであれば、△7二飛と回って、上に上げた銀を狙う手もありますが、△5五銀とぶつけて、▲同銀△同角と銀交換。
飛車取りの先手なので、▲4六銀と打ち直して、△3三角と引きました。
佐藤名人だけ銀を手持ちにできたという主張ですね。
ただ、▲3五歩と攻められて、怖いです。
とは言え、△8四飛と浮いて受かるということで、お互い駒組みを進めて、じっくりとした将棋になりました。
ただ、ゆっくりした展開になると雁木のほうが堅いので、雁木のほうが良くなる気がします。
ここで、▲2四歩から飛車先の歩の交換。
歩がなくなったので、▲2五銀と棒銀で攻めにいきましたね。
△4五歩と突いて、飛車の横利きを通して受けました。
ただ、▲3四銀から銀・金交換に成功。
△同飛に▲3五金と手厚く打って、△6四飛▲3四歩と拠点を作ることに成功しました。
桂馬も活用していき、永瀬七段の攻めがつながりそうな感じですね。
佐藤名人の受けもすごいので、そう簡単には攻められず、△4四銀と受けて、▲4五桂に金を取って、金を取り返すことに成功しました。
ただ、桂馬が使えているので、▲3三歩成から一気に攻められて、バラバラに。
金銀の連結が外れて、美濃囲いが崩壊してしまいました。
さらに、▲5五角と攻め立て、△4二金打としっかり金銀を連結させましたが、▲4五桂と角を使って攻めにいきました。
△4四銀上と逃げるしかないですね。
飛車の横利きも止まったので、▲3四銀と玉頭を狙っていきました。
ここからは、永瀬七段が攻め立てて、主導権を握りましたね。
ここで、攻め手がなくなってしまい、△3六歩からと金を作って攻め返しにいきました。
▲3八歩と受けても、△3九角から馬を作って、あんまり意味がなさそうです。
なので、▲6二金と攻めにいきましたが、歩成って、と金で攻められてしまいました。
こうなってしまうと、逆に永瀬七段の方が苦しそうです。
ただ、永瀬七段も受けが強いので、佐藤名人もすぐには攻められずに、すごい展開になりました。
馬を引きつけて、しっかり固めました。
ただ、桂馬がいて玉の逃げ道がないのが辛いですね。
金で払うと金が守りに参加しなくなってしまいますので、取るのも難しいですし。
この桂馬が強すぎます。
佐藤名人は、△3九飛と飛車を下ろして、▲4九歩と大駒は近づけて受けよの手筋ですね。
取らせて、▲5八角と打って、△2九龍と香を取りました。
これで、攻めもないので、△5七桂から一手一手ですね。
ここで受けがないということで、投了となりました。
▲同金は△7九金ですし、▲7九桂と打てば一応受かりますが、△8九金で必至になります。
受け将棋同士の粘りある将棋でしたね。
激しい展開も面白いですが、こういう粘りある将棋も面白いですよね。