第1回AbemaTVトーナメント決勝トーナメント 第1局の羽生善治竜王と佐々木大地四段が対局した棋譜です。
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AbemaTVトーナメントは、持ち時間5分で指すごとに5秒追加のネット将棋のような早指し戦ですね。
いつもの公式戦とは違ったスピーディーな将棋で、かなり楽しいです。
本局は、角換わり模様から羽生竜王が角交換拒否して矢倉のようにしました。
佐々木四段が駒組みを優先して飛車先を伸ばさなかったので、飛車先を受けずに済んだのも大きかったかもしれません。
羽生竜王が先に▲3五歩と仕掛けていきます。
△同歩は▲4六銀で歩を取りにいきます。
先に突き捨てるのがポイントで、突き捨てずに▲4六銀とすると、△4五歩で銀が下がらなくてはいけなくなってしまいます。
突き捨てていれば、△4五歩に▲3五銀と出られるというわけですね。
佐々木四段は取らずに△4三銀上と雁木にして受けます。
▲3八飛と回って、次に▲3四歩と取り込まれると取り返せませんので、△3五歩と取るしかないですね。
▲同飛は取った後に次の狙いがありませんので▲4六銀と出て銀で取りにいきます。
△3四歩はあまり打ちたくはありませんが、打たないと羽生竜王に打たれて、△5一角なら▲6五歩と角道を開けられて攻められますし、△2二角なら▲2四歩から攻められます。
タダですが、打つしかないですね。
銀の交換をして、佐々木四段も飛車先の交換を入れて、攻めの形を作ります。
羽生竜王は歩で受けずに△9七角~△6四角と攻めにいきます。
△8六歩▲8八歩と受けさせて、△2五飛と回ります。
8八歩を打たせたことで、玉が一気に狭くなりましたね。
2九飛成が入ってしまうと、受けるのが一気に苦しくなります。
銀を打つしかありませんが、せっかく交換した銀を手放して、イヤな展開です。
羽生竜王は▲2六歩△同飛を入れて、▲2八歩と受けます。
一回叩くことで、飛車の横利きが弱くなって、戻れなくなりますね。
佐々木四段は△4五銀~△5六銀と金・銀交換します。
△3七歩の焦点の歩の手筋ですね。
駒の利きが多いところに歩を打ち込むことで、どれで取っても駒の利きを悪くすることができます。
▲同飛なら飛車の横利きがなくなるので、△5八銀で詰めろをかけられます。
▲同角は△3六飛と戻って、角が成れば飛車が取れるので、角を動けなくすることができます。
なので、▲同桂しかありませんが、飛車先が重くなるので、あまり指したくはないですね。
そこで、△3六飛と戻って、狭くなった飛車を狙っていきます。
激しい攻め合いになって、△6七桂不成に▲6九玉は△5八銀▲同歩△3九龍から詰みとなってしまいます。
▲同銀は玉の小瓶があきますし、5九金と入れるようになるのもイヤですね。
▲同金と取りましたが、△8七銀から攻めていきます。
玉を引っ張り上げて、羽生竜王も正確に受けていきます。
△7三銀が意味深な一手でしたね。
▲同玉なら△8四馬▲7二玉△8三馬▲7一玉△8二銀▲8一玉△8二金で詰みとなります。
羽生竜王も読み切って、▲8一玉と取らずに受けきります。
後は安全に詰めろを外して、攻め切ります。
ここで、佐々木四段の投了となりました。
詰みはありませんが、この金取りが受けにくいですし、羽生竜王は金駒をたくさん持っているので、入玉も難しいです。
ということで、投了となりました。