居飛車の振り飛車対策として、飯島流引き角戦法というのがあります。
飯島栄治七段の考えた戦法で、安全に美濃囲いに組んで戦うことができます。
そこまで指す方は多くないですが、好きな方は好きな戦法ですね。
飯島流引き角戦法の定跡
飯島流引き角戦法はこういった駒組みになります。
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飯島流引き角戦法では、角道を開けません。
先に美濃囲いを作って角を動かしてから、玉を美濃囲いの中に入れます。
こうすることで、7六歩が突いていないので、△4五歩と角道を通されたとしても、王手にならなくなります。
なので、角道を通した攻めに対しても、強くなっています。
プロの棋譜
第56期王位戦挑戦者決定リーグ白組プレーオフ 佐藤康光九段vs菅井竜也六段
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佐藤九段の飯島流引き角戦法に対して、菅井六段は、向かい飛車穴熊にしましたね。
美濃囲いよりも穴熊のほうが堅いということで、堅さを主張しにいきました。
後は角を狙っていって、菅井六段は攻めていきました。
角がどうしても不安定になってしまうので、それを咎めているわけですね。
飯島流引き角戦法には、不安定になった角を狙っていく指し方もかなり有力だと思います。
飯島流引き角戦法の対策
角を狙う以外の対策も見ていきたいと思います。
対策1:向かい飛車にする
ただ、1つ重要なのは向かい飛車にすることです。
例えばここで、△4二飛と四間飛車にしてしまうと、▲2四歩といきなり突かれてしまいます。
△同歩▲同角と進んだときに、△2二飛と回りたいんですが、回れなくなってしまいます。
回ると、▲3三角成に△2八飛成と飛車が取れればいいんですが、王手なので、▲同桂しかありません。
そこで、飛車を取られてしまい、うまくいきません。
どうしても、四間飛車や三間飛車にしたいという場合は、先に銀が上がらずに飛車を振って玉を囲います。
そうすれば、王手になりませんので、2四歩からの仕掛けはなくなります。
ただ、いつでもその仕掛けは残ってしまうので、安全に戦うには向かい飛車のほうがいいのかなと思います。
対策2:棒銀を防ぐ
飯島流引き角戦法の攻め筋は、棒銀にして、2筋の突破です。
飛車角銀で、攻め潰してしまおうということですね。
なので、その攻め筋を防ぎます。
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△5四歩~△4二角と引いて、銀が出てきたときに、桂馬を跳ねられるようにします。
▲3七銀に対しては、△3三桂と跳ねます。
次に△4五桂と跳ねれば角銀両取りが決まるので、角か銀かどちらか動く必要があります。
▲4六銀とあがってきたら、△4五歩と追い返して問題ありません。
▲2六銀なら、△6四角と飛車を狙っていきます。
その場合、▲4六角と合わせる手もありますが、△5五歩と拒否して、▲同歩なら△5二飛と回ります。
2筋は突破されても、5筋から反撃できるので、これはこれで一局です。
△5五歩に対して、▲同角の場合は、△同角▲同歩△2四歩と反発していきます。
▲同歩△同飛▲2五歩△2一飛~△5六歩と垂らしてどうかですね。
次に4五桂からと金を作る狙いですね。
受けようとしても、△3九角もあるので、かなり受けにくいです。
桂馬を使っていくのが飯島流引き角戦法には有効的です。