第30期竜王戦6組にて、藤井聡太四段が金井恒太六段に勝利して、デビューから15連勝となりました。
まだまだ勝ち続けますね。
メンタルも強靭なようです。
意識しないようにしていても、絶対意識しますからね。
その中で、勝ち続けるというのは、メンタルが強い証拠でしょう。
それでは、竜王戦での金井恒太六段との棋譜を見ていきたいと思います。
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金井六段の矢倉に対して、藤井四段は居角左美濃急戦ですね。
居角左美濃急戦もソフトが指しだした手で、矢倉に対してはこれを推奨しています。
なので、ソフトの中では、矢倉は攻め潰せるという結論になっているんでしょうね。
逆に左美濃の低い陣形で保っておいたほうが安全と見ているのかもしれませんが。
何にしても、すごい破壊力です。
検討
ということで、検討していきたいと思います。
矢倉の組む手順も変化していて、A級順位戦の解説のときに、藤井猛九段が△3四歩に対しては、
少し前までは振り飛車にする可能性も残して、▲6六歩としたほうが良かったと言っていました。
ただ、そうすると、△8五歩から、▲7七銀と矢倉を明示しないといけなくなり、△3二銀から居角左美濃急戦で攻め潰されると話していましたね。
なので、△3四歩に対しては、▲7七銀とすぐに矢倉を明示したほうがいいとのことでした。
とは言え、▲7七銀とすぐに上がったとしても、居角左美濃急戦はできますから、難しい所だと思いますが。
本譜は、▲6六歩と突いて、藤井猛九段が言っていた通りの居角左美濃急戦となりました。
飛車先の歩の交換は全く問題ないという考えですね。
ここから、△2三歩に▲2八飛と引いたんですが、▲3四飛と横歩を取る手も考えられますね。
その場合は、△4四角と上がって、飛車を2筋に戻らせないようにするんでしょうか。
ちょうど名人戦第2局で佐藤名人が指したような感じですね。
ただ、名人戦のときは、△2三歩を打っていませんから、▲2四飛とすぐに戻ることはできましたが、
本譜の場合、△2三歩と打っているので、戻るのが容易ではないですよね。
その間に攻めてしまおうという狙いでしょう。
そうなると、手損が厳しいので、金井六段は▲2八飛と引いたわけですね。
続いて、藤井四段の攻め。
▲同歩ですと、△同銀ですかね。
△同桂ですと、▲6六銀に△8六歩と飛車先の歩の交換はできますが、あんまり得しているようには見えませんので。
金井六段も飛車先の歩の交換はできていますので、特に不満はないかな、と思います。
本譜は、取らずに▲5七銀と6筋の守りを強化しました。
それに対して、藤井四段は、△6三金から金も攻めに参加させましたね。
金井六段は、▲3七桂と攻めの形を作っていきますが、藤井四段の方が速いですね。
飛角金銀桂歩の攻めの理想形。
以下、▲同歩に△同金と金で攻めていきます。
▲7六歩と追い返そうとしますが、△8六歩▲同歩に、△6六歩と突いていきます。
かなりイヤな攻めですね。
とは言え、金を引いて拠点ができるのは困るので、▲同銀右と取るしかありませんが、
そこから全部払って、手筋の叩き・継ぎ・垂れ歩ですね。
△8五飛から△8七歩成がありますから、それを防ぐか攻め合うかする必要があります。
金井六段が選んだのは、▲9七角。
歩を払ってしまうのと、もし成られたとしても、5三角成とできれば、王手銀取りになりますので、攻め合えるという狙いでしょうか。
△8五飛に対して、▲7七桂△8一飛と追い返して、▲8五歩。
これで、歩を払える形にはなったんですが、藤井四段は△6五歩と6筋にも拠点を作りました。
これも厳しい一手ですね。
▲5七銀と引くと、攻められている8筋が弱くなってしまいます。
△8五桂から本譜と同じように進んだとしますと、△9九角成とされたときに、桂馬を守る手がないのが辛いです。
▲8六角としても、△8五飛が角に当たってきますし。
一応、▲5三角成と王手はできますが、△4二銀ではじかれて、△8九飛成の一段龍が厳しいです。
ということで、▲5七銀とは引かずに、▲7五銀と上がりました。
ただこうなると、角が重たくなってしまうので、▲9七角と上がったのが生きてこないですね。
さらに、△6六香と退路封鎖。
▲同金としても、△同歩と歩が伸びてきて拠点ができるのがイヤですし、
かと言って逃げても、玉の逃げ道がなくなりますし…
どちらにしても、イヤな展開ですね。
金井六段は▲7七金寄と避けましたが、△9五歩と端攻め。
もう6筋から向こうにはいけませんから、端から寄せてって詰みということですね。
序盤中盤終盤どれも強くて、参考になる手ばっかりです。
実践で少しでもこういった手が指せるようになりたいです。