第75期名人戦七番勝負、稲葉陽八段vs佐藤天彦名人の第2局。
第1局は横歩取りになって、稲葉八段が勝ちました。
このまま稲葉八段が押し切るのか? それとも、佐藤名人が巻き返すのか?
ということで始まった第2局。
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稲葉八段は矢倉戦にしようと言ったのに対し、佐藤名人は構わず攻めていきました。
居玉は避けよという格言に反して、お互い居玉のまま攻め合う展開に。
名人に定跡なしとは言いますが、居玉のままは絶対にダメと言われている中、名人戦でも居玉での戦いになるんですね。
もしかしたら、一切囲わずに、どんどん先に攻めるのが棋理だったりするんでしょうか。
これから先、将棋もさらに発展していくでしょうし、細い攻めもつなぎやすくなっていくと思います。
そうなると、先に手をつけられた方の負けみたいな感じになってもおかしくないような気がします。
もちろん、憶測に過ぎませんけどね。
ということで、本譜を見て行きたいと思います。
名人戦第2局の検討
稲葉八段は、8筋をしっかりと受けているのに対し、佐藤名人は放置して、あっさり飛車先の歩の交換を許します。
佐藤名人は、飛車先の歩を交換している間に、駒組みを進めて、攻めてしまおうという狙いですね。
17手目▲3四飛
駒得は裏切らないということで、横歩も取りましたね。
これに関しては、浮かむ瀬の評価値の変動もほとんどないので、どちらでもいいようです。
なので、好みですかね。
駒得をするのがいいのか、手得を避けるのか、棋風が現れるとこじゃないかと思います。
28手目△7五歩
佐藤名人は早繰り銀で仕掛けていきました。
▲同歩とすると、△同銀で、銀が前に出てきて、攻めの形を作られるのがイヤですね。
ということで、▲6六銀と逃げました。
△7六歩と取り込まれたときに、銀に当たらないようにするのと、銀を7五に出させないようにする狙いですね。
38手目△8六歩。
これは覚えておきたい手筋ですね。
△8六歩▲同歩に、△8五歩と合わせの歩。
▲同歩と取れば、△8六歩と垂れ歩。
以下、△8五飛と取って、飛車先を突破する狙いです。
ということで、稲葉八段は、△8五歩と合わせてきたときに、▲7九角と引いて、△8六歩を▲8八歩と受けて我慢しました。
ただこうなってしまうと、角が使いにくいですし、飛車も抑え込まれていて、苦しいです。
なんとか耐えていましたが、佐藤名人の攻めが厳しかったです。
これで、1勝1敗。
どうなるか全く分からなくなりました。
また、どんな対局になるのかも予想できません。
常識破りの面白い将棋が見られそうですね。