棋王戦五番勝負の渡辺明棋王と本田奎五段の対局が始まりました。
振り駒の結果、渡辺棋王の先手番となり、矢倉戦になりましたね。
角換わりにされるかなと思いましたが、渡辺棋王は矢倉を選択。
もしかしたら、先手番なら矢倉と決めていたのかもしれませんね。
本田五段は棋王戦挑戦者決定トーナメントの行方尚史八段戦で、急戦調にしていましたので、そう指されるのかなと思いきや、ガチガチな4枚の銀矢倉に組んでいました。
あまり見ない形ですが、かなり優秀でしたので、銀矢倉を見ていきたいと思います。
銀矢倉の手順
まずは普通の矢倉を目指していきます。
先後ほぼ同型で進んでいきます。
2五歩は早めに突くことで、相手の形を決めさせられます。
つまり、△3三銀の矢倉か△3三角の雁木かですね。
それによって、動きを変える必要がありますので、早めに突いたほうがいいと思います。
銀矢倉にする場合、▲4六歩~▲5六銀の腰掛け銀にして、▲6六歩~▲6七銀のほうが多かったですが、本田五段は5筋を突いて銀矢倉にしていましたので、そちらにします。
本田五段は後手番でしたが、見やすくするために先手番にしています。
雁木に7七銀もくっついた非常に硬い囲いですね。
銀矢倉の利点と不利点
銀矢倉の利点と不利な点を見ていきたいと思います。
銀矢倉の利点
利点はなんと言っても、硬さですね。
7筋からの攻めにも強いです。
具体的には、△7五歩と突かれても手抜けます。
△7五歩▲同歩△同角と手順に歩を交換しつつ角も退かせれば、気分がいいです。
ただ、6七が金ではなく銀ですので、手抜いて他の手を指すことができます。
△7六歩と取り込まれても、▲同銀右で問題ないということですね。
これが銀ではなく金ですと、戻れませんので、狙われてしまいますが、銀なので△7五歩と打たれても▲6七銀と戻ることができます。
後手としては歩の交換はできますが、角は3一にいたままで玉が矢倉に入城できませんので、角を動かす手を指す必要があります。
銀矢倉の不利な点
銀矢倉の不利な点としては、金銀4枚とも囲いに使っていますので、攻めが細くなります。
攻めの基本は飛車角銀桂と言われていますが、銀がいなくなりますので、飛車角桂の3枚で手を作らないといけません。
なので、どちらかというと受け主体になります。
そういう意味では、千日手でも歓迎の後手番向きの囲いと言えるかもしれません。
とは言え、先手で指しても悪いわけではありませんので、研究してみると面白いかもしれません。