第30期竜王戦、挑戦者決定トーナメントにて、増田康宏四段に勝って、29連勝となりました。
これで、神谷八段を抜いて、単独トップですね。
しかも、デビューしてからずっと連勝し続けての連勝記録ですからね。
デビュー戦以降の昇段からの連勝記録はこれまで10連勝が最高だったのに、大きく塗り替えてしまっています。
さすがに、この記録は、当分抜けないでしょうね。
ひょっとすると、これから先ずっと抜けないなんてこともあるかもしれません。
なにせ、これまで歴代の連勝記録すら塗り替えてしまっていますからね。
すごすぎます。
では、その29連勝となった増田四段との対局を見ていきたいと思います。
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本譜は相掛かりの将棋になりました。
藤井四段はやっぱり角換わりにしたそうでしたが、増田四段が嫌って、△4四歩と角道を閉じて、角換わりを避けました。
増田四段は雁木にしましたね。
増田四段、雁木が得意戦法と言っていて、矢倉は終わりましたとまで言っていましたからね。
さすがに、リップサービスもあるとは思いますが。
その雁木に対して、藤井四段は早繰り銀ですね。
もう少し囲うのかと思いきや、▲3五歩とすぐに仕掛けていきました。
藤井四段、いつもなら自陣をしっかり引き締めてから戦っていましたが、雁木に対してはこれで十分ということなんでしょうか。
▲3五歩は△同歩と取って、▲4六銀と出ていきました。
取られそうな歩を伸ばすのは好手ということで、△3六歩。
相手の攻めを緩和する狙いもありますね。このまま▲3五銀と出てしまうと、△3七歩成▲同桂に△3六歩と打たれて、桂馬が取られて、と金ができてしまいますので。
ということで、▲2六飛と浮いて受けました。
今度同じ筋は、同飛と取れるので、問題ありません。
増田四段は△4二角と銀が出てきたときに角を狙われないようにするのと、8筋の歩と角を交換して、攻めに転じる狙いですね。
藤井四段は▲2四歩と突き捨てて、△同歩に▲3五銀とどんどん銀を進出。
増田四段も△8六歩から攻め返して、歩と角を交換して、8七歩と打たせて、△8五飛と真ん中に引きました。
銀取りですが、それよりも▲2四銀と出てきたときに△2五歩と飛車道を止める狙いですね。
本譜もその通り進んで、▲3六飛と拠点を払いました。
ただ、飛車が逸れた分、攻めが緩和されました。
増田四段は、それよりも飛車を取ってしまう狙いだったようで、△2七角▲3九飛△4九角成▲同飛に△3八金。
▲5九飛と逃げるしかありませんが、△4八金と寄られて、飛車が詰みですね。
ここで藤井四段は▲2二歩と攻めにいきます。
桂馬を取られてと金を作られるわけにいきませんから、△同金と外して、▲7七桂と桂馬を活用していきました。
△8二飛に▲6五桂ですね。
△6二銀と受けるんですが、▲7五角とさらに足していきます。
3一角成とされると、金に当たって、金が逃げても桂香取られてしまいますので、△3二金と金が戻りました。
そこで、もう1回▲2二歩ですね。
取れば角成が入るので、△3三桂と逃げる一手。
歩成から攻めていくのかと思いきや、▲同銀成と取ってしまうんですね。
△同金に▲1五角と両金取りですね。
△5九金と飛車を取って王手して、▲同銀と取らせてから、△3二銀なんですね。
△3九飛と打ったほうが金を守りつつ玉を迫っていて、味が良さそうなんですが、▲5六歩と角道を開けられて、飛車に当たってくるのがイヤだったんでしょうか。
ただ、△3八飛成としておいて、後手が指せる展開のようです。
とは言え、角が2枚とも自陣に効いていて、ちょっと攻めにくそうですね。
藤井四段からしたら、角が2枚とも攻めにも効いていますから、色々と攻め手がありそうですし。
実践的には、先手の方が指しやすいんじゃないかと思います。
なので、△3二銀と引いて、自陣を引き締めたんですが、▲5三桂打と桂馬を放り込んでいきました。
ここで、ソフトと指し手が一致するのが藤井四段なんですよね。
金打って、両取りかけたいように見えますが、それじゃダメなんですね。
elmoによると金を打ってしまうと、受けが効かなくなってしまって、△8九飛から一気に悪くなるようです。
金があれば、△8九飛は▲7九金打としておいて問題ないということですね。
それも藤井四段の頭の中にあるんでしょうね。底知れないですね(^_^;)
△4三金上と逃げ道を開けましたが、▲2一歩成とと金を作りました。
△6四歩と角道を閉じたんですが、▲2二とと銀取り。
△3一歩と受けて、▲同となら、△2三銀とかわして問題ないということですね。
△3二とと取って、▲同歩に△6四角と歩を払いました。
増田四段は△6八歩の勝負手。
▲同玉や▲同銀は飛車が王手で入りますので、▲同金と取りましたね。
ただ、△8七飛成があるので、それはそれで怖いんですが。藤井四段に取っては問題ないということですね。
△5二玉と角道から逸れつつ、6三から逃げていく狙いですね。
▲3四歩と叩いて、△同金直に▲4一桂成と成っていきました。
△同玉は頭金で角が2枚効いているので詰みですね。
ということで、△6三玉から逃げていって、▲3一角成に△8七飛成とここで攻め合いにいきました。
▲6一銀とまずは逃げ道をなくして、△8九龍と王手。
▲5八玉と逃げられて、△2八飛と2枚の飛車で挟み撃ち。
▲4八銀は△4九銀で詰みますので、▲4八角の一手ですね。
そこで、△6四歩と手を戻したんですが、▲7五金と詰めろ。
△4八飛成▲同玉と切って行って、△2八角と受けましたね。
▲3七歩とかで角道を止めると、△3九角成▲同玉△5九飛と攻めるんでしょうね。
ただ、▲4九角や飛と相して余しています。
それでも問題ないと思いますが、一瞬でも怖い形になるので、藤井四段は安全に▲3八飛と打って、増田四段の投了となりました。
今度は△3九角成としても、▲同飛と取られて全く問題ありませんから、△1九角成とするしかありません。
▲3四飛と切って行って5三金を狙っても良さそうですし、▲2八歩と馬道を止めてしまっても良さそうです。
後は一手一手になりそうですね。
なので、投了やむなしとなりました。
ただ、中盤から後半にかけては大熱戦で、どっちが勝ってもおかしくないような将棋でした。
それでも、最後は藤井四段が一気に突き放しましたね。
この辺が終盤力の強さということなんでしょうか。
素晴らしい将棋でした。
次は同じく竜王戦で、佐々木五段との対局ですね。
これも楽しみな対局ですね。