第89期棋聖戦第一次予選の藤井聡太四段と阪口悟五段との対局です。
西川七段の対局が午前中に行われ、その後、午後から行われた対局ですね。
2局続けてとかって、どうなんですかね。
かなり疲れるような気がしますが…
そんなこと言ってられないので、仕方ないですかね。
それでは、棋譜をどうぞ。
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藤井四段が面白い構想で、作戦勝ちして、そのまま持っていきましたね。
序盤中盤終盤全くスキがなく、阪口五段を寄せ付けない感じでした。
以前の上州YAMADAチャレンジ杯では、苦戦しましたので、気を引き締めて臨んだのでしょうか。
それでは、本局を振り返っていきます。
序盤:阪口五段のゴキゲン中飛車に対して、藤井四段の超速
阪口五段は振り飛車党ということで、振っていきましたね。
上州YAMADAチャレンジ杯では、4→3戦法でしたが、本局はゴキゲン中飛車にしましたね。
先手・後手の違いもあるからでしょうね。
藤井四段は角道を開けた普通の超速ですね。
藤井四段は角道を開けずに銀を繰り出す居合抜き超速を良く指していましたが、本譜は居合抜き超速ではなく、角道を先に通して、超速にしました。
それから、駒組みが進んでいって、阪口五段は▲5六銀型にしましたね。
▲6六銀と上がって、銀対抗の形にするのもよくある指し方ですが、まっすぐ上がりましたね。
△4四銀の2枚銀を警戒されたのでしょうか。
ただ、△5六銀ですと角頭が薄いので、▲7五歩と仕掛けていきましたね。
この辺からは中盤になりそうですね。
中盤:藤井四段の袖飛車~玉頭戦へ
▲7五歩は△同歩と取る一手で、▲7二飛と袖飛車にして、7筋から攻めていく狙いですね。
桂馬も跳ねて、石田流っぽくしました。
飛車-桂の形はかなり形が良く、破壊力がありますよね。
ただ、飛車が狭くなるので、抑え込まれると飛車が取られてしまうのが難点ですね。
その前に攻めていく必要があります。
とは言え、お互いに手がなく小競り合いが続くような感じになりました。
阪口五段は銀冠にして固めた所を藤井四段は玉頭から攻めていきました。
銀冠の弱点は頭の銀ですが、玉が薄くなるので、反動も厳しそうです。
なので、反動が来る前に攻めてしまおうということですね。
取りあえず、一歩交換してから、4筋、5筋の歩を突き捨てて、△4六歩と垂らしましたね。
ここが弱点ということでしょうか。
角頭は丸いですが、この拠点をどう活かすかは難しい所ですね。
藤井四段はおそらく攻め筋が見えていると思いますが。
ということで、阪口五段もゆっくりしていられないと銀交換して、攻めに転じます。
角を引っ張り出して、角を狙っていきました。
藤井四段も引いていられないと△同角と切ってしまって、▲同飛に△4四銀としっかり埋めました。
5三のと金に負けなしということで、飛車は見捨てて、▲5三歩成。
△5五銀と飛車を取り、▲4二と△同玉。
飛車・銀と角・金の交換ですね。
この交換なら駒損はしていないですね。
玉形は阪口五段が銀冠がしっかりできていて固いですが、かなり攻め込まれていて、傷も大きいので、その辺がどうかという所でしょうか。
ソフトは、藤井四段の勝勢ですが、実践的にはまだまだ難しいと思います。
終盤:藤井四段の厳しい攻め
ただ、ここからの藤井四段の攻めが厳しすぎますね。
▲4四歩△同金に▲6二角と阪口五段は攻めにいくんですが、藤井四段は手抜いて△2五歩と玉頭を狙っていきます。
そこから、▲5六歩として銀の取り合い。
こうなるとさすがに持たないですね。
垂らした歩が活きて、△4七歩成。
玉の退路を断たれて、角取りの先手でさすがに持ちません。
▲4九金となんとか受けるんですが、△2六歩と叩かれて、▲同金に△4六飛。
金を守りつつ金取りからの詰めろで、さすがに手がないですね。
▲3六歩とかで受かるには受かりますが、攻め手が一切ないので、角を取って、攻めていけば、問題ないですね。
終始、藤井四段が厳しい手を指し続けて、阪口五段に何もさせませんでしたね。
見事な将棋でした。