棋聖戦一次予選、藤井聡太四段vs西川慶二七段の棋譜速報と結果

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第89期棋聖戦一次予選の藤井聡太四段と西川慶二七段の対局です。

最後の方を少しだけリアルタイムで見れたのですが、藤井四段が勝勢と言っても良いような感じで、このまま押し切って勝つのかな、と思っていましたが、

西川七段が見事な切り返しをしていて、すごい面白い対局でした。

さすがプロ同士という感じの対局で、一方的に見えても、巻き返して一手でも誤れば、すぐに逆転してしまうような感じでしたね。

本局を振り返っていきたいと思います。

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序盤~西川七段、得意の矢倉へ。藤井四段は左美濃急戦から藤井矢倉で対抗~

西川七段は矢倉が得意ということで、角道を止めて、矢倉にしましたね。

それに対して、藤井四段は居角左美濃急戦の構え。

藤井四段vs西川七段

▲2五歩の利かしが入っているのが大きいですね。

飛車先が突けている分、攻めやすいので、左美濃に囲って一気に攻めてしまおうという狙いですね。

西川七段は、まだ攻め手はないですし、矢倉にするにしても、△4二角~△3三銀と上がらないと矢倉が完成しないため、手が遅れています。

ただ、このまま左美濃急戦で攻めていったら、矢倉にはせずに、このまま戦ったかもしれないですね。

このままでも高美濃が完成していて、十分固い形ですので。

それなら、藤井四段に手が遅れることもありませんからね。

ということで、藤井四段は藤井矢倉や片矢倉という形にしました。

藤井四段vs西川七段

藤井矢倉は、藤井聡太四段ではなく、藤井猛九段の方ですね。

藤井猛九段が指し始めて、そう言われるようになりました。

藤井矢倉の方が短手数で組めるため、先に攻めることができます。

本局でも、西川七段はまだ3一に玉がいて、矢倉に入城できていないわけですね。

なので、2二玉と入る必要がありますが、藤井矢倉はこれで完成ですので、このまま攻めることができます。

もちろん、その分薄くなるので、どうかという感じですね。

中盤~藤井四段の快調な攻め~

ここから藤井四段から角交換して、▲6一角と打っていきました。

藤井四段vs西川七段

狭いようで、意外と取られにくいですね。

△6二飛とかしたら、▲8三角成ができますからね。

角を合わせても、また打たれるだけなので、この角は放置するしかなさそうですね。

ということで、△5五歩と攻めていきました。

▲同歩△同銀で取りあえず一歩交換する狙いでしょうか。

後は、▲5二角から角交換して、手順に飛車を回る手もあるでしょうか。

ただ、また▲6一角と打たれて、△5五飛は▲5六歩で問題なさそうなので、あんまり得にはなってなさそうですね。

藤井四段は手抜いて、▲3五歩と銀を進出して攻めていく狙い。

△5四角とけん制して、▲2六飛と浮いて受けました。

そこから、銀交換に成功して、飛車先の歩も切れました。

藤井四段vs西川七段

藤井四段の攻めが成功している形ですね。

矢倉は、銀・角交換できると、かなり囲いが崩れますので、もろくなります。

後は、どう寄せるか? といった感じですね。

△2三歩に対して、▲5四飛と切ってしまって、△同金に▲4三銀と金を剥がすことにも成功しました。

この辺は終盤と言っても差し支えなさそうですね。

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終盤~西川七段が勝負手で巻き返し~

藤井四段vs西川七段

ここでようやく使えていなかった飛車が使えるようになりましたね。

ただ玉の守りが飛車だけなので、かなり危ない形ではありますが。

勝負ですので、そうも言ってられないですね。

藤井四段は▲2四歩と玉頭を狙っていきました。

△同歩なら▲2三歩と玉も叩くのでしょうか。

△同玉なら▲3四角~▲2三金で飛車を抜いてしまえば玉の守りが何もいなくなるので、勝ちですね。

ということで、取らずに△3五飛と走りました。

ただ、▲4一角の追撃が痛いですね。

▲2三歩成△3一玉▲3二金△同飛▲同角成までの詰めろですので、受ける必要があります。

△3二銀と先手を取りつつ玉頭も守りつつ受けるのかと思いきや、△3二歩と節約しましたね。

藤井四段vs西川七段

角を切られる筋を警戒されたのでしょうか。

それとも、銀が2枚ないと攻められないと読んだのでしょうか。

西川七段の意図が気になります。

ここで、▲3四金と打っていき、決めに行きましたが、△同飛▲同角成のときに、△7九金という勝負手。

藤井四段vs西川七段

こういうのはプロですと、すぐに見えるんですかね。

すごい切り返しです。

▲同玉と取るしかありませんが、△3九飛で馬を抜いてしまおうという狙いですね。

ここでちょっと攻め手が難しいですが、藤井四段は▲8二飛と飛車をおろしました。

elmoは、▲5四歩を推奨していました。

△同龍は▲2三歩成△同玉に▲3一飛で受けが難しくなります。

なので、△同金と取るか△4三金と寄るんですが、△同金なら▲5二角成と龍取りに当てて、△4三金なら▲6三角成と銀を取りにいきます。

ただ、藤井四段もその攻め手に合流したので、あんまり変わらないような気もしますね。

先にやるか後にやるかの違いですね。

とは言え、elmoによると先に▲5四歩でないといけないようで、1300点ぐらいだったのが、700点ぐらいまで落ちています。

飛車を先に打っている分、手が限定されたからダメってことなんでしょうか。

この辺は難しい所ですね。

そこから、角成った所で、西川七段の反撃。

藤井四段vs西川七段

銀が弱点ということで、銀を叩いていきました。

▲同銀なら△7七歩と玉も叩くのでしょうか。

elmoは、△5七歩成と成り捨てて、▲同金寄と金を退けてから、△7七歩と叩いた方がいいとのことでした。

形悪くしてからのほうがいいということなんでしょうか。

ただ、拠点がなくなるので、攻められるのかどうかは難しいですね。

藤井四段は取らずに、▲6四馬と取り合い。

藤井四段vs西川七段

これで、藤井四段の玉にも迫って、怖い形にできましたね。

ただ、西川七段の玉もかなり危ないので、どっちが先に届くか? ですね。

藤井四段は▲2三歩と叩いて、△同玉に▲8一飛成を桂取りの先手にしましたね。

西川七段は△6八とと勝負に行きました。

藤井四段は、▲2一龍と入って、玉をひたすら追ってから、▲6八金と手を戻しました。

藤井四段vs西川七段

これで安全な形になりましたね。

西川七段の方としては、銀と龍の両取りも受かりませんし、玉の退路もありませんので、指しようがなさそうです。

藤井四段vs西川七段

最後は飛車を打たれて投了ですね。

以下、△同銀に▲同桂成△4二玉▲5三銀△4三玉に▲3二龍で詰みですね。

藤井四段の完璧な構想もそうですが、西川七段の勝負術も参考になる一局でした。

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