上州yamadaチャレンジ杯トーナメントにて、藤井聡太四段と三枚堂達也四段の一局です。
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200手を超える大熱戦の末、藤井四段が敗れました。
早指しでもこんなすごい対局になるんですね。
ホントに天才同士のプロの対局という感じで、素晴らしい対局でした。
今度は早指しじゃなくて、持ち時間の長い将棋での藤井四段と三枚堂四段との対局を見てみたいです。
凄まじいことになりそうな気がします。
それでは、本局を振り返っていきたいと思います。
角換わり腰掛け銀~藤井四段の一人千日手~
本局は角換わり腰掛け銀の形になりましたね。
三枚堂四段は、5六銀と銀が上がっている形ですが、藤井四段は6三銀と腰掛け銀にはせずに保留していますね。
桂頭を守る意味や5二玉~6一玉~7二玉と右玉にできる意味もありますね。
相手の出方次第で決められるので、万能ですよね。
ということで、藤井四段はここから5二玉~4二玉~5二玉と一人千日手にして、三枚堂四段の出方を伺いましたね。
後手番ですし、千日手なら大歓迎ということですね。
三枚堂四段が▲6七銀と引いた所で、△5四銀と腰掛け銀にしましたね。
▲4五銀とぶつけられる筋がなくなったからという意味が大きいでしょうか。
5六に銀がいる形のときに、△5四銀と出ると、▲4五銀とぶつけられて、△同銀▲同桂は銀取りの先手ですので、△4四銀と逃げるんですが、
▲6三銀と銀を捨てるんですね。△同金と取ると、▲7二角の両取りが受からなくなります。
こういう筋を嫌っての6三銀型だったってことですかね。
ただ、△5四銀と上がったときに、三枚堂四段は▲4五桂と仕掛けていきます。
ここからは駒がぶつかるので中盤に突入ですね。
中盤の難解な攻め合い
桂跳ねには、△4四銀と上がり、三枚堂四段は飛車先の歩を交換して満足ですね。
このままですと、三枚堂四段の注文だけは通る展開で、藤井四段には面白くないので、攻め返します。
△6五歩と突き捨て、▲同歩に△7五歩とさらに突き捨てていきます。
これを▲同歩と取ると、△6五桂と跳ねていくんでしょうか。
▲6六銀と避けて、一局の将棋ですね。
これもこれで難しいと思います。
ただ、三枚堂四段は取らずに、▲6六銀左と銀が避けつつ歩を取りにいきました。
△9五歩と端歩も突き捨てて、▲同歩に△8六歩~飛車先の歩の交換ですね。
そこから角を打ち合って、▲2二歩。
△同金と取らせて、壁金の形にして、形を悪くしたいということですね。
形悪くなるのを嫌がって、△1三桂と逃げました。
ここから角交換になって、銀の取り合いですね。
さすがに銀と金の交換は不利なので、取りあえず▲5三桂成と取られそうな桂馬を成り捨てて、△同金と取らせてから、▲6七金と手を戻しました。
金を引っ張り上げることにできて、かなり形が悪くなりましたね。
玉の守りが歩しかありませんし、飛車が睨んでいて、かなり怖い形になりました。
ここからは終盤と言ってもいいのではないかと思います。
乱れに乱れた終盤戦
この終盤もすごいですよね。
ホントに将棋は終盤力だということを思い知らせてくれる一局でした。
藤井四段は△6五銀と銀を攻めに参加させて、三枚堂四段は▲5四銀と打ち込んでいきました。
△同銀▲同歩△同金は、▲7二角の飛車・金取り狙いですね。
△5一飛で一応受かりますが、▲6三角成と馬を作っておいて、飛車が使えず脅威が減ったのでゆっくり攻めることができます。
ということで、△5二金と引いたんですが、▲6四角と攻めていきます。
王手・桂取りで、桂馬を取りつつ馬を作る狙いですね。
そこからまた藤井四段が攻め返して、玉の守りを引き剥がすことに成功します。
さすがにここは攻めるべきだったでしょうか。
駒もいっぱいありますし、自玉も安全ですので。
elmoの推奨手は、△6八銀と金取りに当てつつ玉の退路をなくす手ですね。
▲6七金と逃げれば、△7九銀打から2枚替えですが、飛車成って勝ちですね。
ただ、金が逃げれないとなると、かなり苦しいと思います。
藤井四段は安全に勝ちに行って、△6三銀打と馬を取りに行きました。
三枚堂四段も守りが硬くなって、また難解な局面に…
ここで、三枚堂四段にミスが出ましたね。
▲6三角と打って、飛車・金両取りをかけたんですが、△6一飛と回られて、逆に角・金取りに。
▲7二角であればこの筋はなかったんですが、早指しなので、こういったミスがどうしても出ますよね。
とは言え、金を取って龍は作れても、三枚堂四段の玉が手厚くなりましたので、まだまだ難しいですね。
この▲5一飛もいい一手ですよね。
▲3三角成~▲5八飛成の龍取りの先手で飛車をおろしています。
藤井四段の返しもすごくて、△5六桂と攻めつつ龍を守りました。
ここからまたすごい将棋になって、どっちが勝ってもおかしくないような展開でしたね。
最後は藤井四段の玉が先に詰まされてしまいました。
以下、△3三玉と落ちるしかありませんが、▲3一飛成に合駒して、△2二角までですね。
最後までどちらが勝つか全く分からない将棋で、面白かったです。