茶王戦の谷川浩司九段と高見泰地叡王が対局した棋譜です。
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茶道と将棋の融合ということで、いつもの対局とはまた少し違った将棋が楽しめましたね。
そしてなんといってもルー大柴さんが茶道で登場するというサプライズも。
生ティーのおはこび😆 #キリンビバレッジ #生茶 #茶王戦 pic.twitter.com/9UnCyXzKMI
— ルー大柴 Lou Oshiba (@louoshiba_) 2019年1月13日
貫庵 大柴宗徹 大盤解説にチャレンジ😆シルバー(銀)とゴールド(金)がキーになるのでは・・とビギナー解説🤣 #茶王戦 #将棋 pic.twitter.com/HyAWKAcjgv
— ルー大柴 Lou Oshiba (@louoshiba_) 2019年1月13日
ルー大柴さんは将棋も少しだけ指せるとのことで、大盤解説も行って、いつものルー語で楽しませてもらいました。
それでは本局を振り返っていきたいと思います。
対局は矢倉になりまして、谷川九段が4筋の位を取って、高見叡王も突っぱねて6筋の位を取り返して通常の矢倉とはまた違った形になりました。
飛車の小瓶をどう受けるか
次の▲4六角と飛車を狙われる手をどう受けるかですね。
単純な受け方は△9二飛ですが、飛車が使えなくなるので指したくないですね。
△3一角と引いて▲4六角△6四角と合わせる手も見えますが、堂々と▲同角と取られて、▲3五歩がありますね。
△同歩なら▲7一角で3筋の歩をさばきつつ馬を作ることができます。
谷川九段の陣形は4九に金がいますので、3九角の筋はないですね。
ということで、△7二飛と周って▲4六角△7三桂で受けました。
ただ6筋に桂馬がはねられないので、少し桂馬が使いにくいのが気になるところですね。
高見叡王の攻めを逆用
高見叡王が7筋の歩を切って攻めにいきましたが、谷川九段はそこを利用して▲8六銀と逆に攻め返していきました。
守りの銀ですので怖いところですが、抑え込めれば問題ないですね。
矢倉は一方的な展開になることも多いですので、自陣は薄くてもなんとかなることも多いです。
8六銀は7五銀や9五銀と出て歩を取りに行く狙いですね。
△7四銀なら▲7五銀とぶつけて△同銀▲同歩で攻めの銀と守りの銀ですので、本来は後手のほうが得ですが、次の▲7四歩と▲6一銀の割り打ちが残っていて、先手のほうが良さそうです。
ソフトは△4四歩と角頭を狙って互角とのことでした。
▲同歩なら△4五歩ですね。角が逃げれば十分ですし、▲同桂は△4四銀と出て角を狙っていく展開です。
△4四歩を手抜いても同じですね。取り込んで、▲同桂なら△4四銀ですし角が退けば7筋の攻めを緩和できます。
高見叡王は△6四銀と角道を受けつつ7五銀を受けましたね。
▲9五銀なら△8二飛で問題ないということですね。
▲7五銀は取らずに△6三金とあがって割り打ちを消しつつ銀にヒモをつける狙いだと思います。
▲8四銀は△8二飛で手順に銀取りの先手を取りつつ飛車先を軽くしてもらって、逆に後手のほうが得しそうです。
ただ、△6三金に▲6四銀△同金▲7五銀と打ち直して、金と銀の交換は損ですので、△6三金と引きますが、そこで▲8四銀はあったみたいですね。
今度は△8二飛は▲7三銀成が入りますので、飛車を動かすことはできません。
解説の藤井隆九段は▲6四銀△同金のときに▲3五歩△同歩▲同角で5三銀を狙っていく筋を解説していましたね。
谷川九段はその変化を選ばず▲3五歩△同歩▲同角と進みました。
銀を吊り上げられたので、十分という判断ですかね。
突き捨ての歩
谷川九段は▲2四歩と突き捨てていきました。
△同歩なら▲2五歩の継ぎ歩なのでしょうか。
ただそのときに△3六歩▲同銀△7六飛で銀が逃げると△3六歩で▲2四歩△3七歩成▲2三歩成と一直線の攻め合いもあるようです。
そうなると逃げ道の広い高見叡王のほうが勝つようです。
なので、△同歩も十分ありそうですが、△同銀と角取りの先手を取りましたね。
▲4六角と引いて、次に▲2二歩に△同金でも△同玉でも▲8五銀と桂馬を取って▲3四桂という狙いがあります。
高見叡王は△3四歩と受けましたね。
2枚銀で盤面を制圧
高見叡王は銀を2枚とも繰り出して、盤面を制圧していきました。
▲3五角とさばきにいきたいところですが、△8八歩▲同金で悪形にされて、玉の逃げ道がなくなるのが怖いですね。
ということで、▲7九玉と寄って△8八歩に▲同玉と取れるようにしました。
ただ8四の歩を受けられるようになるので、やや苦しいですね。
△7四飛と浮いて5四の歩を払って自陣を安全にするのも有力ですが、高見叡王は△6六歩と角道を止めにいきました。
この場合、▲同歩で一歩持たれるのが少し気になるところですね。
じっと飛車が逃げるべきだったか
高見叡王は銀を取りつつ飛車取りの先手を取りました。
谷川九段は▲7一銀不成と飛車の取り合いを選択しましたが、それで受けが効かない形になってしまったでしょうか。
▲3九飛と逃げておいて互角の難しい将棋だったようです。
ただ、時間の短い将棋で谷川九段は時間が残されていませんでしたし、正確に指し切るのは難しいところですね。
投了図
△5六馬で谷川九段の投了となりました。
すぐに詰むわけではありませんが、飛車を下ろされて受けが難しくなります。
反対に高見叡王の玉はなかなか寄りませんので、投了やむなしですね。