第4期叡王戦 本戦の佐藤天彦名人と中村太地七段が対局した棋譜です。
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本局は角換わり模様から佐藤名人が避けたような形でしょうか。
どちらかというと、横歩取りに近い形ですかね。
ただ、普通の横歩取りにしてしまうと、青野流がキツいということで、少し変化させたかったというのがあるのかもしれません。
厳しかった拠点
中村七段は雁木で受けて、佐藤名人は早繰り銀で攻めていきましたね。
2六の歩を取るために、角道を通して3五歩として、▲2六飛と飛車先を通しましたが、△7七歩成▲同金△同飛成▲同桂とぶった切って、△5七金が受けにくかったですね。
なので、飛車が走る前に△5六歩▲同銀左としておきたかったでしょうか。
△5七金に▲5六銀左と粘りにいきました。
△6八金と角がボロっと取られてしまいますが、仕方ないですね。
▲同玉ですと、△3五角が王手飛車になってしまいますので、同玉はできないですね。
どう迫っていくか?
ここで、先手玉にどう迫っていくかですね。
叡王戦で使っていたソフト「ぽんぽこ」では、600点ぐらい先手がいいという判断でしたが、dolphinでは300点ぐらいでまだまだ難しいという判断ですね。
△3五角と出るか、△5五歩▲6五銀としてから△3五角▲3六飛△6五銀▲同桂△5六銀というのもあったようです。
佐藤名人は△5八歩と垂らして、金を活用しにいきましたね。
▲同銀△同金▲同金で△3五角と出られれば、先手玉をかなり薄くできますので、寄せやすくなります。
ここで、▲2一飛△3一歩▲2三飛成△同金▲同飛成というのもありましたね。
中村七段は▲3八玉と早逃げしました。
自玉を安定させてから、攻めようということで、こちらも有力ですね。
佐藤名人流・受けの技術
中村七段は飛車を切るのは危ないという判断で、▲2二金から迫っていきました。
そこで、△1二銀が見事な受けですね。
▲1一飛成△2二金▲同龍△3二金▲1一龍と0手で中村七段の手駒に戻すことに成功します。
あとは△3五角から佐藤名人が一気に寄せにいきました。
投了図以下
△4八とで中村七段が投了となりました。
以下、▲5七玉は△5八角成で詰みですので、▲同玉しかないですが、△4七銀▲4九玉△5八角成までですね。
佐藤名人の鋭い攻めとガッチリとした受けが光る将棋でしたね。
さすが名人という感じで、見事でした。