第78期名人戦七番勝負第六局 豊島将之名人vs渡辺明二冠にて、渡辺二冠が勝利しました。
これにより、渡辺二冠の4勝2敗で、渡辺二冠が名人奪取となりました。
渡辺二冠が最強なのは、ずっと竜王を死守してきたころから自明の理でしたが、その渡辺二冠ですら、ずっと取れなかったのが名人でした。
今回が名人挑戦も初めてで、初挑戦で奪取ですね。
インタビューで、名人が「縁のないタイトルだと思っていたので」と答えられていたのが、印象的でした。
渡辺二冠を持ってすら、難しいのが名人戦ということですね。
さて、名人戦第6局の振り返りをしていきたいと思います。
矢倉vs急戦矢倉
対局は渡辺二冠の矢倉に対して、豊島名人の急戦矢倉となりました。
村山慈明七段が初手から解説されていますので、こちらもご覧ください。
豊島名人の急戦矢倉を渡辺二冠が受ける展開となりました。
14分55秒~ 渡辺二冠は強く金を繰り出して、力強く受け止めましたね。
5六金型が良い形かどうかは置いておいて、これで豊島名人が攻めにくくなったのはありそうです。
渡辺二冠が確実にポイントを上げていって、攻める形を作っていきました。
封じ手から終盤へ
封じ手は6三金でしたね。
豊島名人は金銀を前進させて、渡辺二冠は玉周りにくっつけて、ガッチリとしました。
攻めの厚さは豊島名人のほうがありますが、細い攻めをつなげるのが渡辺二冠の持ち味ですからね。
玉を固めて、攻めは細くてもしっかりつなげて、勝ちに結びつけるという渡辺二冠の理想的な展開ですね。
3分35秒~ 5三歩はかなり参考になる手筋ですね。
金でも銀でも取れる歩ですが、銀はバックしてしまいますし、金は桂頭が薄くなります。
桂馬が取れれば、4五桂打の両取りが生まれますし、どれで取っても味が悪い歩です。
7分24秒~ △7六歩の取り込みに対して、▲7四歩と攻め合いにいきました。
これもすごい手ですね。
玉から近いので受けたいところですが、攻め合いで勝てるということですね。
豊島名人としては、一直線の攻め合いでは苦しいところですが、受けも効かないので、仕方ないところです。
渡辺二冠が無理やり攻め合いに持ち込んで、勝ちをもぎ取りました。
今までの実力にソフトが加わって、さらに強くなった印象があります。
渡辺新名人の活躍にも注目です。