第67期王将戦二次予選にて、三浦弘行九段と羽生善治三冠が対局しました。
三浦九段が羽生三冠と対局するのは、三浦九段が公式戦に復帰した第30期竜王戦1組ランキング戦で対局した以来ですね。
そのときは、羽生三冠が矢倉で三浦九段は居角左美濃急戦を採用しました。
本局では角換わりの対局になりました。
棋譜はこちらです。
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序盤:角換わり腰掛け銀
普通の角換わりの出だしになり、相腰掛け銀の形になりましたね。
羽生三冠は6二金8一飛の形で、三浦九段は5八金型ですね。
三浦九段は4筋の位を取っていて、これがどう影響するかですが、▲4六角といきなり打っていきました。
これもよくある筋ですよね。
桂馬や飛車の頭を睨んでいて、攻めをけん制する狙いがありますね。
角換わりで6二金型にしたときに、この角を打たれたときの対応が良くわからないんですが、△6五歩からいきなり動いていけるんですね。
これは面白そうなので、今度やってみたいです。
中盤:羽生三冠の攻めと三浦九段の受け
△6五歩▲同歩△7五歩と突いて、こちらは取らずに▲2五桂と跳ねていきました。
△7五歩も▲同歩だったら、△6五桂と飛んで銀を退かして飛車先の歩を交換しにいくんでしょうか。
飛車が走ったときに横が通っているのでどうかという所ですね。
▲2五桂と飛ばれて手抜かれたので、△2四銀とかわしました。
ちなみに、elmoは△6五歩の前に▲2四角と合わせて、△同角▲同銀として、桂馬を先にかわしてから、もう一回▲4六角と打ってきたときに△6五歩から仕掛けていったほうがいいとのことでした。
そうすれば、▲2五桂と跳ねられてもなんにも当たっていないので、攻められるわけですね。
本譜は、▲2五桂△2四銀の交換を入れて、▲6七金右としっかり受けましたね。
△6五銀と銀を攻めに参加させて、▲5五角と角を攻めにも守りにも効かせました。
ここから、羽生三冠が一気に攻め立てていきます。
全駒躍動という感じで、守りの駒が金2枚しかなくなってしまいました。
ただ、守りが薄いのはお互い様で、三浦九段も銀と金しか守りがありませんので、両者とも薄いですね。
ここで三浦九段も反撃に出て、▲3四桂。
△3三角と攻めにも効かせて角で受けます。
▲2二銀△同金▲4二銀△同角と金と角の両方に働きかけられて、▲5五角と打っていきました。
これが両方の金取りで厳しいですね。
どっちも取られたくないですからね。6六の金は攻めの要ですし、2二の金は守りの要ですし…
とは言え、どっちかは取られるので、攻めが切れたら勝ち目はなくなるということで、△7六金と攻めの金を守りましたね。
終盤:三浦九段の怒涛の反撃
▲2二角成から三浦九段の一気に反撃に出ました。
必死に玉が逃げて、攻め手を作ろうとしますが、三浦九段の攻めが厳しかったです。
馬を引きつけて、守りにも攻めにも効かせて、羽生三冠に何もさせずに攻め切りました。
最後には飛車も働かせて、全駒を使って寄せきりました。
以下、△9三玉に▲8四銀△8二玉▲8三銀成△8一玉。
角が効いているので、▲7三銀成と角道を遮断しつつ飛車道を通して王手。
△7一玉に▲8二飛成までとなります。
敗着は・・・
敗着はソフトによると、88手目の△8六歩みたいですね。
これが緩手で、▲5五馬と引きつけられて、一気に悪くなりました。
なので、△3三銀と馬を止めつつ馬取りの先手を取っていれば、まだまだだったようです。
ただここで△3三銀はソフトっぽい感じがしますね。
ただの所に捨てに行っていますから、人間的には指しにくい一手ですね。
プロの場合、どうかは分かりませんが。
ちなみに△3三銀を▲同との場合は、△7七歩から後手勝勢になります。
なので、▲同馬と取るしかなくて、△同桂としてどうかという感じだったようです。