藤井聡太四段の連勝がストップしたあとの対局ですね。
このまま負け続けてしまうのか? それともまた勝つのか? ということで、注目された一局ですね。
また、対局相手が中田功七段で、藤井四段が苦手とされる振り飛車党。
それも、三間飛車党で、中田功XPとかコーヤン流とか呼ばれる独特の差し回しで、藤井四段は慣れていないんじゃないか? ということでも、注目されていました。
その一局がどうなったのかというと…
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中田功XPが炸裂しましたが、藤井四段がかわして、勝ちました。
連勝ストップしても変わらずということで、藤井四段の本当の強さが証明されたのではないでしょうか。
十代でタイトルとか、八冠取るとかいう話も現実味帯びてきているような気がします。
おそろしいほどの強さですね。
それも、ソフトとほとんど指し手が一致していますから、ほぼPONANZAやelmoと戦っているのと同じですからね。
村山七段は解説で、ソフトは長手数の詰みが見えないけど、藤井四段なら見えるだろうし、ソフトより正確かもしれないとまで言っていましたので、もしかしたら、ソフトよりも強いなんてこともあるのかもしれません。
いずれにしても、この先が楽しみです。
それでは、本局を振り返っていきたいと思います。
中田七段が穴熊得意ということで、藤井四段は穴熊にしないんじゃないかとも思ったんですが、堂々と穴熊にしましたね。
中田七段も穴熊崩しの中田功XPですね。
中田七段は、△8五桂と跳ねて端から一気に攻めていく狙いですが、藤井四段がその前に動きました。
▲2四歩と突き捨て、△同歩▲3五歩△同歩▲同角と取りあえず1歩取り返しました。
次に▲3四歩とされると困るので、△3四歩と先に打って、▲2四角△2二飛と回りました。
これは振り飛車の手筋の受けですよね。
単純に角交換すると飛車先が破れて不利になりますので、飛車を2筋に回すことで、角を取ったら飛車取りますよということですね。
なので、▲2五歩と角にヒモをつけます。
この攻めは、相手は三間飛車でも四間飛車でも通用しますので、参考になりますね。
2筋の歩を切っていきなり行くのではなく、3筋も絡めるのがいいんですね。
とは言え、これだけで振り飛車が不利になるわけもなく、まだまだ難しい将棋です。
振り飛車党としても、この中田七段の受けは参考になるのではないでしょうか。
ここから、中田七段も攻められっぱなしではなく、反撃。
この歩打ちは本当に悩ましいですよね。
香で取るのか、桂で取るのか、銀で取るのか。
本局は角が効いていて、銀で取ると玉が取られるので、銀で取ることはできませんが、銀で取れることも多いですよね。
解説の村山七段は、香で取るのを第一に考えたほうがいいとのことでした。
香で取れば、そんなに穴熊の形が崩れないからですね。
9八に空間は空きますが、そこを攻めにいくのはなかなか難しいものがありますので。
端から攻められても、将来的に9八歩みたいな受けもありますので、9八が空いていた方がいい場合もあります。
なので、藤井四段も▲同香と香車で取りましたね。
△8五桂が当たってくるので、怖いには怖いですが、すぐに潰される心配はないですね。
ただ、ここから中田七段は飛車も切っていって、終盤戦に突入。
次に△9八歩▲同玉△8六桂▲9九玉に、質駒に銀がありますので、△4六角と銀を取って、9八銀までの詰みですし、▲8六歩と桂馬を取っても、馬が効いてくるので、受けになっていないですね。
ということで、▲8六桂と敵の打ちたいところに打てで、藤井四段が桂馬を打っていきました。
中田七段は角を取らせて、と金を作り攻めに行きますが、藤井四段が手筋の攻め。
▲6五歩と突いていって、中田七段は△9五歩▲同歩を入れてから、△6五歩と手を戻して、▲6四歩と叩きます。
△同金に▲7三歩と銀も叩いていって、△同銀左と取りました。
△同銀直ですと、▲7二歩△同玉▲8一角で決まりですね。
△同玉でも△8二玉と逃げても、金が取れますので、筋に入ります。
△同銀左には、▲5三角と王手して、△6二銀打としっかり受けますが、▲6四角成△同銀に▲7四桂と守りのために打った桂馬を攻めに使っていきました。
当然、△9八歩からの反撃がきますが、最後は打ち歩詰めで、歩以外には角と桂馬と頭が丸い駒しかありませんので、詰みませんね。
最後はこの桂打ちから筋に入りましたね。
127手までで中田七段の投了となりました。
藤井四段、かなりギリギリまで踏み込んだりもするんですね。
これも読み切れているからこそ指せるんでしょうね。
ここもさすがです。
これで、振り飛車が苦手というのも、あんまり当てにならなくなってきたような気がします。
これといった弱点はないように思うんですが、どうなんでしょうね。
藤井四段に弱点はあるのか? ここも注目ですね。