第77期順位戦Ｃ級１組４回戦の青野照市九段と藤井聡太七段が対局した棋譜です。
本局は相掛かりになりましたね。
青野九段は相掛かりより横歩取りのほうが得意だと思いますが、横歩取りにしようとした場合、藤井七段は角換わりにするでしょう。
角換わりがかなり強いので、それは避けたかったのかもしれません。
青野九段はUFO銀と呼ばれる指し方ですね。
藤井七段は３三角で対応しましたが、△９四歩もあって、▲９六歩△５二玉▲３六銀とUFO銀にされたときに、△３六飛とぶった切る変化もあります。
上記で、そちらの変化は紹介していますので、よろしければご覧いただければと思います。
藤井七段は銀冠にして、じっくり指す指し方ですね。
銀を弾いてから、△５四飛と回りました。
青野九段としては、▲２七銀～▲２六銀と立て直して、３五の歩を狙っていきたいところですが、藤井七段はそれより速く攻めてしまおうという狙いですね。
桂馬も跳ねて、攻めの形を作っていきます。
▲３六歩としましたが、△６五歩と突きました。
▲同歩なら△８八角成▲同銀△５五角で決まります。
青野九段は▲５六歩としましたが、△７五歩とさらに突いていきます。
▲同歩は△６六歩▲同金△８四飛と戻る狙いだと思います。
青野九段は▲３五歩と取り込みました。
△６三銀からさらに銀も繰り出して、厚みを足していきます。
青野九段は桂馬を活用して、攻めの形を作りましたが、藤井七段の攻めに比べると攻めが軽すぎますね。
少しずつ崩していくしかありませんが、藤井七段の攻めのほうが速そうです。
青野九段は歩成りから桂交換して、▲５五歩。
△同飛でも△同角でも駒の働きが悪くなります。
△同角は香取りの先手にはなりますが、▲４六桂で返せるので、そこまで刺さらないですね。
△８四飛で先手を取って、▲７四歩。
飛車成りでも十分ですが、切り合いに持っていく意味はあまりありません。
特に藤井七段は安全に勝ちにいくことが多いので、△同飛ですね。
ここで、△６六歩もあったみたいですね。
▲５七金寄△７七歩成として、▲同角は△６五桂で角金の両取りになります。
▲同桂は△７六歩や▲４五桂の飛車金両取りがあります。
▲５六金なら本局のように△７七桂と戻ってもいいですし、▲４四桂～▲３六歩で押さえることもできます。
拠点を活かして、金を打ち込んでいきます。
▲同銀△同歩成▲同金は△６五桂の追撃があります。
ということで、▲５九玉とかわしましたが、△７七金と角がボロっと取られます。
▲４五桂に対して、△５五角とズバッと切っていきます。
▲同銀に△５八と▲６七角と打って、桂馬を取りつつ飛車銀両取りの狙いですね。
▲３三歩と打って、△５八と▲同玉△２二金とかわします。
依然として、▲５五銀には△６七角から桂馬が取られる手が残りますが、▲５三桂成△同金としてから▲５五銀と取っておくぐらいでしょうか。
それでも、△６七角～△４五角成が厳しいですが、桂馬をタダで取られるよりはという感じですね。
青野九段は▲５五銀とたんに取って、△６七角が決まります。
後はねばりが効かなかったですね。
以下、▲２六玉△２五銀▲１五玉△１四歩までとなります。
